2010年6月18日金曜日

アナリストカバレッジの拡充・・・

昨日、某証券取引所の役員の方、金融情報提供企業のトップの方等とミーティングをしました。題目は「上場企業のカバレッジ拡充の方策について」。
①時価総額の小さい企業はアナリストレポートの件数がゼロのところも多く、とりわけアナリストに情報提供してレポートを書いて欲しいというニーズをお持ちの企業さんも多く、②投資家側からすると、企業の客観的情報が乏しいので取得できる手段があれば、という意向もあり、③「証券アナリスト資格」を持っている人の中にはダイヤモンドの原石を見つけて自分がレポート書いてあげたい企業はあるのに、セルサイドアナリストのポジションは限られており、それを具現化する場がない・・と三者がそれぞれに悩みを持ち、これを解決できれば美しいわけですが。

ではいったい資金はどこが出すのか?上場企業から一律に拠出するというご提案もありますが、では30社にもカバーされているSONYや任天堂が納得するか?発行体側がお金を出して書いてもらった途端にレポートの「中立性」は担保できなくなり・・さらに、アナリストの質は誰が担保するのか?セルサイドのように業界ウェイトを付けるストラテジストもいない中で、「売り」「買い」という客観的な指標がありうるか?そもそも小型株は機関投資家が流動性の観点から買える銘柄が少ない以上、個人投資家の読み物としてのカバレッジレポートになるわけで、個人の方々がそんなファンダメンタル分析を欲しているのか?推奨銘柄とその根拠が数行あればいい人というのが実は大方なのでは?などなど悩みは尽きず。

これは、アメリカでも悩ましい命題で、エンロン後に国の時限立法という後押しもあって投資銀行部門の息のかからない独立系リサーチ会社が100社超勃興したわけですが、今ではかなり淘汰が進んでしまった。理由としては、投資家の需要の大きい新興国の銘柄までカバーしきれない、他国/他市場との横比較ができない、投資家側からの訴訟リスクに耐えられない、過当競争になってしまった、などがあるようで、結局法律も2009年に失効してしまいました。

日本の新興市場銘柄の中にはIPO後は注目されて一時流動性があるも、その後は売買も細り、時価総額も減り、というのが多いパターンで、いくら取引所が時価総額や流動性といった上場廃止基準を設けたところで、肝心の投資家が興味を示してくれなければ、企業も取引所も如何ともしがたいというのが本音だろうと思います。ライブドアショック、リーマンショックを経て、日本の中小型株市場はまだ活況が戻ったとは言えず・・
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100427/fnc1004272235015-n1.htm
という記事もありましたが、実効性は上記の観点から厳しいのだと思います。と見ていたら、こんな記事もありました。
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100617/fnc1006170359000-n1.htm
何とか頑張ってほしいところです。

ただ弊社Alba Partnersとしては、時価総額を上げるためのIR上の工夫というのはまだまだありうる、レポートでカバーというのはあくまで選択肢の一つではないかと思っております。