本日の日経1面コラム記事にて、日本の株式市場の半分がデイトレーダーとヘッジファンドで占められている、という悲しい記事が載っていた。さらに、デイトレーダーと準デイトレーダー(月間売買10回超)を足すと、個人投資家全体の9割を占めるという。
短期売買はプロでも勝つことが難しい。それなのに、個人がチャートと板情報を頼りに短期の売買を行うことが、「投資家」として当たり前のように仕立て上げられ、証券会社に売買手数料が落ちている、という事態に憤りを感じてしまう。
ウォーレン・バフェットは「どうやって株取引で収益を上げたのか」という問いに対し、自分は売ることでも買うことでもない、待つことにより儲けているのだ、と答えている。彼を始めとするバリュー投資かの多くは、本来の資産価値よりも低い株価を付けている企業で、収益基盤が安定した会社の株式を長期保有する。そうすれば、マーケットが下げている時も大きく凹むことはない。結果として資産を増加させることができる、というわけである。
同じ記事に「年金不安などで将来が見通せない環境は長期投資に不向き」という専門家のコメントが載っていた。本来、年金などの長期のお金こそ、株式などで長期運用して、資産を増加させるという発想があるべきなのに。未だに公的も企業も年金基金に行くとJGBで運用している部分の大きさに驚いてしまう。安全資産というけれど、増税も「臨時」としかお約束できないような国のボンドの方がよほど危なかろうに。
さらに、大学の教授のコメントも記事も「企業が株価上昇や配当の前提となる収益を上げることが前提」、「企業が長期保有を促す必要」と論じているが、本当にそうだろうか。こういう論調では何かというと企業をやり玉に挙げるような気がするのだが、きちんとした投資教育がなされれば、個人が短期売買に走ることもないような気がする。子供のうちから会社と株式について学ばせ、さらに、高校生程度になったら、財務諸表の読み方を始めとする企業情報の読み取り方をトレーニングさせる。そんな土壌作りが必要なのではないだろうか。個人が犠牲になって、株式市場の一部のプレーヤーに収益が落ちている状況は、早急に改善すべきであろう。
個人の資金が、企業に長期成長の安定原資になるような世界は日本ではなかなか難しいのだろうか。微力でも貢献できることを積み上げていきたいと思う。