米金融界では、昨年度に関する総括や新年度の予想がいろいろとなされています。今期に関しては暗いトーンの記事が多く見受けられます。
証券業界は第3四半期(7-9月期)のエクイティビジネスが軒並みボトムの状況で、それぞれJPモルガン(▲8%), UBS(▲30%),BOAメリル(▲7%)、さらにデリバティブ損などがマイナスに拍車をかけるという状況でした。替わって第4四半期は、マーケットのボラティリティ増により、コミッション収入は増加しているだろうということは想像できますが、自己勘定部門でのマイナスが足を引っ張っている可能性が指摘されています。
そもそも銀行は近年、自己勘定取引で潤ってきたところがあり、株式、商品などの資産である程度のリスクを取って取引をしてきました。政府監査院によれば、2006年6月から10年12月までの銀行大手6社の自己勘定取引収入は156億ドルに対し、金融危機の際に同取引で158億ドルの損失を出し、それまで4年半の利益が吹き飛んだと言われています。
このような動きに対して規制をかけようとしたのがボルカールールで、銀行は今年の7月までに自己勘定取引が禁止され、取引執行のため外国関連会社も禁止、自己勘定取引を行っている投資会社のポジションも清算する方向、というものです。
Dodd Frank規制(金融規制改革法)でも同様に自己勘定取引によって銀行自身と金融システム全体をリスクにさらすことを防止していますし、加えて、OTCデリバティブ改革、バーゼルⅢの段階的導入、欧州OTCデリバティブ規制(EMIR)など、今年は昨年にも増して規制強化が図られることが予想されます。
欧米の金融業界は、企業部門にも加えてdelevaraging(デレバレッジング=レバレッジを減少させる)方向に動くことが予想されます。欧米の金融当局は金融危機後に「日本の失敗は十分学んだ」「日本化はしない」と豪語していました。 しかしながら、デットの返済に企業が動き、金融界も規制に縛られてレバレッジを減らすという二重のデレバレッジが進めば、ますますマネーのフローは停滞し、景気後退が深刻になります。
さらに欧州の債務危機も暗い影を落としています。
このような中、ファンドマネージャーさんたちから聞こえてくるのは、「parking lotとしての日本」。要は、一時しのぎに車を停める場所として日本株を買うというものですが、これを一つのきっかけとして、海外の投資家が日本株を物色する際に日本の良い企業を紹介できれば本望です。
今年も少しづつ時間を見つけてブログを書いていきたいと思います。