2010年12月12日日曜日

無借金企業と海外投資家から見た日本

先日、日経が上場企業の11%は有利子負債がゼロと報じていました。一説には4割の企業は今後の借入を想定していないとのことで、この数字は今後ますます大きくなることと思います。

先日、外国人投資家をメインのターゲットにしたカンファレンスに出ていた際に、日系企業の経営者に対する質問の多くは、「御社の実績も、実力も、戦略も分かった、しかしこの余ったキャッシュどうするんだ」、というものでした。この質問にまともに答えている経営者が少ないのが、同じ日本人としては何とも悲しいところでした。日系企業の多くはバブル崩壊後、バランスシートの改善を急ぎ、過剰借入、過剰雇用、過剰設備、すべてを削りに削って、本来は今、絶好の攻めの機会にある、というのが外国人投資家から見た日本企業に対する認識なのかもしれません。

株主相手に配当を増やすも良し、自社株を買うも良し、このご時世ですが、従業員給与を増やすも良し。ただ、この円高を背景にした海外での企業買収、新規事業への進出や、それらを含む設備投資、研究開発投資というのが絵として描けないのはなぜなんだ、という、とてもシンプルな問いがどの企業にも発せられていたように思いました。そしてそれに対して、明快な答えは殆どなかったように感じました。

翻って、中国やシンガポール、タイ、マレーシアというアジアの国々から来たCEOたちは自信に満ち、たくさんの役員や担当者を従えることもなく、流暢な英語で、躍動感あふれる表現で、自社の今後の戦略を語っていました。

何人か話した外国人投資家の中には日本びいきの方も多く、民族性もあるから、多少はそれぞれさっぴいて見ないと、とは言いつつも、少子高齢化だけではない、何とも言えないこの国の縮み思考が年々ひどくなっているように思う、と話していました。

30代後半男性の4割は親と同居という記事や、1/4の若者が定職についたことがない、という報道もありました。将来に夢を持てる国にしなくては、企業に余るお金も親元にあるお金も、殖やすことはできない、リスクとって投資することなんてできないんだよな・・、とつくづく思います。