2013年3月6日水曜日

ショートセラー(空売り屋)と中国上場企業の戦い?


ここ1-2年、ちまたを騒がせている、米系空売り屋さんと中国上場企業との間で繰り広げられている話を取り上げてみます。

ロングショート戦略を採用するヘッジファンドなど、株式をショート(空売り)して、実際に株価が下落した時に買い戻し、その価格差で収益を上げる手法を取る投資家というのは多数います。(ショートの手法は貸株市場が存在し、株式市場の流動性がある程度担保されていることが条件になりますので、ある程度の売買ボリュームがある国でのみ可能となります。)

アメリカでは、上場企業の何らか負の情報をつかんでは、ショートを繰り返すファンドで名の知られたところがいくつかあり、この中でも、Muddy WatersとCitron Researchの2社は特に有名です。

ここ2年、中国の上場企業への空売りを大々的にしかけていたのですが、結果は惨憺たるものでした。
この2社に限らず、多くの米系ファンドが、原因は中国の上場企業の虚偽表示にあると、再三クレームをしています。具体名として、オリエント・ペーパー、スピードトラム・コミュニケーションズ、フォーカス・メディアなどは名指しで非難されており、株価を大きく下げたりしました。

他方で、これらの言動で特定の企業の株価が下がっている状況は、ショートをしかけている立場でもあることを考慮すると、利益相反を招いているとも言え、中国では反発の声も上がっています。

そんな折、今度は今年の1月末にTwitter上で、MuddyやCitronがつぶやいているハンドルネームに酷似したアカウントから、米国の特定企業の負の情報が流れ、株価が大きく下がるという、まさに「風説の流布」が起きたことが分かりました。

特定の2社をターゲットにしたもので、いずれも株価の暴落を招いたものの、即座に噂が否定されたことから、株価は当日中に回復したようです。
一部ではこれは中国側からの仕返しではないかと言われており、SECが未だに真相を究明しているとのことです。

いずれにしても、「どっちもどっち」な話ではありますが、米国側の言い分としては、中国の上場企業は未だに帳簿を3種類(税務署用、投資家用、そして最後に経営陣用のホンモノ・・)などと作り替えていると主張しておりますし、当面SECも巻き込んでの戦いは続くものと見られます。

弊社のお客さんに言わせれば、日本も子会社に飛ばして連結外したり、つい最近までそんな国だったじゃないか、って言われまして。。そう言われてみれば最近もまだバブルの処理でそんなことを続けていた会社が明るみに出たばかりだし、と思ったのでした。