2012年8月1日水曜日

オリンピックの経済性について

オリンピックが始まって、テレビ観戦で昼と夜が逆転してしまって、という方はたくさんいらっしゃいますよね。

キャメロン首相は、「ゲームをゴールドに」という合言葉で、これをイギリスの富につなげると宣言し、英政府も130億ポンドの収入などと試算しているようです。
しかしながら、歴史的なデータを取ってみると、これはかなり難しそうです。

先日のエコノミストによると、1960年代からのオリンピックのお金の出入りを研究した専門家がいて、オリンピックの公共投資のコストオーバーラン(プロジェクトの当初予算を上回ったコストのこと)が平均179%!と言っていました。これは通常、ダムや高速道路を作るのような大規模プロジェクトに比べても桁違いに大きな数字。
4年に一度、しかもまったく違う地域で行われ、情報の蓄積・共有なんてされないのだろうと思いますし、専門性の高い施設となると、予算設定が難しいのかもしれません。

上回った分のツケは?という問いに、もちろんtax payerさ、とエコノミストの解説者は答えていました。オリンピックまでは建設ブームで経済が活況を呈しても、その後停滞するケースは枚挙にいとまがないですよね。巨大な規模の素敵な施設がたくさんできても、その後使い手がなければ回収はできないわけで。その割を食うのは国民である、と。


では選手は、というと、スポンサー契約の口が見つかる一握りのスターを別として、その後は別の職に就き、オリンピックで何か収入を得るわけではない。すなわち、ア マチュアリズムに付け込んで、ギャラ無料の出演者から他に類を見ない規模の収益が上がるという意味では異様な祭典なのかもしれないです。
その収益はスポンサーや広告代理店などに流れていくのでしょうか。
GEは2006年トリノから通算4回のオリンピックで、インフラなど10億ドルの受注って出ていましたね。スポンサー契約を20年まで延長したとか。さもありなん。


翻って日本。
東京商工会議所の1階に「オリンピック開催地決定まであと何日!」という看板があり、毎日日にちが減っていくのですが、どこまで深く考えてこの誘致の議論ってなされているのでしょうか。原子力政策のツケで電気代も上がる日本で、さらに五輪ゲットのツケまで払わされたら・・
恐ろしや・・・
まぁせめて開催期間だけでも楽しんで観戦することにしましょ。