2011年4月26日火曜日

環境に優しいIRのススメ ~ウェブサイトの充実、e-bookの活用など

弊社では、企業のウェブサイトの充実や資料のe-book化などにより、「環境に優しいIR」をおすすめしています。

かつてのIRの潮流は、企業活動の透明性を増すこと、そのために開示を増やすこと、であったと思います。この結果、重畳的に資料が増えることにもなり、あいにく、制作にかける時間やコストが増大して企業活動を圧迫する結果にもなってしまいました。従って、ウェブサイトを充実させる企業が増えてきたというのは自然な流れであろうと思います。


 企業側のメリットとしては、
   -制作コスト、印刷コスト、資料送付コストの削減
   -デザイン、レイアウトの自由度の増加
   -情報のアップデートの簡便さ

 投資家サイドにとってもメリットも大きく
   -検索機能やリンク設定により、得たい情報にすぐに辿り着くことができる
   -経営トップの新しいメッセージを随時確認できる
   -投資判断に必要な数字のコピーペーストがしやすい

などが挙げられるかと思います。

先週、日本IR協議会の2011年度「IR活動の実態調査」がアップされていました。そこには、「投資家向け」「IRサイト」と明示されたページを持つ企業は98.6%でありながら、ウェブの特徴を生かした見せ方をしているという企業は57.7%という結果が載っていました。
上記のようなメリットを勘案すれば、本来、もっと電子化されて良い情報はありそうです。

弊社では、
  -アニュアルレポートを作っていらっしゃる企業には、e-book化や情報をウェブサイトのページにテキストで載せることをオススメ
  -CMSを利用するなどして、企業側でも随時、情報更新をすることが可能なページ作りをオススメ
  -企業の旬の情報に合わせて、経営のメッセージを発信していただくことをオススメ
     (⇒お忙しければ弊社でライティングや編集は代行)
  - コーポレートサイトの営業に資する情報と、IRサイト、ニュースリリースを連動させることのオススメ

などをお伝えし、少しでも投資家サイドの情報ニーズと、上場企業の情報発信のギャップを埋められるようなお手伝いができればと考えております。そして、両方のサイドで少しでも無駄なエネルギーを使うことを減らすことによって、環境にも人にも優しいIRが実現しますように・・と願っております。

2011年4月5日火曜日

震災と復興 --神戸との比較

さて、少し頭の整理のために簡単に調べていたのですが、今回の被災地3県(岩手、宮城、福島)の県内名目GDPは国全体の4%弱(少しdata古いかも)で、95年の阪神大震災で被害を受けた兵庫県の当時の比率(約4%)とほぼ同等。しかし、相対的に極地的なヒットだった阪神大震災の道路、鉄道、港湾施設などのストック毀損額が.8-.9%だったのに比して、今回の毀損は甚大(Moody'sは復興資金ベースで1.5倍と試算)で、その面での生産押し下げ要因は大。

特に自動車部品供給のストップをはじめ、サプライチェーン全体への影響も今回は甚大であり、代替生産が進むまでには時間が必要。この点と、復興費用による財政環境のさらなる悪化を懸念する声が海外の投資家からは現在もっとも強いように感じます。
阪神大震災当時の財政赤字はGDPの約90%でしたが現在は2倍以上。ドル円の相場も当時より15円以上円高に振れています。

震災後の神戸で3年間銀行員をした身として、一番堪えたのは、確かに復興需要による経済特需というのは国全体で見ると大きな望みですが、これは被災地外の企業にとってのメリットであって、一度震災を機に外部に機能移転された場合、よほどの要因がなければ戻らないということでした。
特に神戸港の港湾機能は釜山に持っていかれ、大企業の「東京臨時本部」が恒久的になったり、中小企業の大阪や東京への移転により、神戸の産業は空洞化し、港湾の荷物取扱量は震災前に戻らず。
今回さらに心配なのは、当時よりますます グローバル化が加速している中、さらに原発影響の不透明さも手伝って、外資系を含めて中長期的に日本国外に生産拠点を移転する決断をする企業が増加するであろうこと、です。

Why Japan?という問に対して、常に身を張って来たつもりですが、ますますこれは手ごわい状況になりました。
ただ!そうとばかりは言っていられないので、Albaでも企業のみなさまの復興サポート企画を練っています。早くご案内できるよう、体制を整えたいと思います。

原発事故に際して

ずっとブログを更新していないのが気になっていました。海外出張とその前後の忙しさにかまけているうちに、日本が未曾有の大災害に遭遇し、1月以来の更新になってしまいました。
宮城、福島を始め、震災や原発事故の被害に遭われた方々に、心からお見舞い申し上げたいと存じます。

福島の原発事故の動向は、収束には長期を要する、そしてどれくらいの期間が必要なのか予測もつかないとのこと。IAEAでの報告団が海外の記者に汚染水の流出について質問攻めにあっていたようですが、海外から見て、これほど理解不能な国もないのではないかと思います。東電の発表が何度も訂正されたり、政府の開示が部分的にしか行われていないことに各国からの不信感は募るばかりのように、海外メディアを見ていて感じます。

昨年からこのブログの何度かの投稿で何故か原発に触れていたことに、いまさらながら気持ちの悪さを感じます。あの時には発電比率の違いや、つくばの科学館の数々のメッセージからイデオロギー的な違和感を感じたに過ぎなかったのですが、「原発容認派」と「原発反対派」の図式がここまで鮮明になって、初めてその推進勢力や管理体制について知る部分がありました。ただ、誤解を恐れずに言えば、このような事故が起きることは想定しがたかった中では、果たして産業政策、環境対策、地域振興策として、強力な代替案を示せる勢力がいない中で原発建設推進(そして外国への輸出)がなされたことは確かであり、もしここまでたくさんの人の命を危険にさらすことが前もって明らかにできたのであれば、答えは自明であったのにと思います。
皮肉なことに、日本人の大半の人がベクレルやシーベルトという物理学者の名前を日々耳にするようになり、原発の仕組を図解入りで理解するようになったり、自分の被ばく量について気にするようになるなど、一か月前には想像もできないことでした。
チェルノブイリのように25年経ってようやく明らかになる事象があり、そのようなリスクの可能性があることに対して、どう考えどう行動すべきなのか。 日本人が歴史上初めて自己責任で行動指針を判断すべき時が来ているのかな、とも思います。

日々命がけで作業されている自衛隊や原発関連の作業員の方々やそのご家族のことを思うと、もしもこれが自分の息子だったら、と思うと、本当にやり場のない気持ちです。ナショナリズムを煽って特攻隊のように突入させるのではなく、作業員の身の安全が守られていることをひたすら祈るばかりです。