2012年12月29日土曜日

映画『レ・ミゼラブル』鑑賞


年末大忙しのこの時期だけれど、映画の『レ・ミゼラブル』を観た。
もう途中から涙涙で、出てきて家に着いた時には疲れて何もできないほどだった。

原作のヴィクトル・ユーゴーの『ああ無情』は子供の頃にも絵本で読み、中学の時に原作を読み、内容については理解していたつもりだけれど、時が経って、また今回はミュージカル版の映画化ということで、迫り来るような歌の迫力も加わり、感じられたものも随分違っていた。
感想というより衝撃にも近いものだった。

話の背景にあるのは、圧倒的な貧困そして格差。
主人公のジャン・バルジャンは妹の子供の食べ物を確保するため、一つのパンを盗んだ罪状で投獄され、脱獄を試みたために19年も牢獄につながれることになる。時代は1789年フランス革命後、ナポレオンの帝政を経て王政復古の時代である。パリ市内のあちこちにはスラムがはびこり、病人が街角で物乞いをしている。状況を見かねたブルジョワ学生が市民を巻き込んで革命へと導き、1832年の6月暴動でのバリケードが場面として描かれる。


若者が憤り、手に銃を携えてバリケードを築く。子供も例外ではない。ドラクロワの絵にピストルを持って描かれた少年がモデルというガブローシュもバリケードの前面に立ち王政軍に対峙する。とても痛々しい場面で涙なしでは見られないが、このような場面は何も19世紀の話ではないのだということを改めて感じた。
最近、反日暴動が吹き荒れた中国。「愛国無罪」の合言葉の下、荒れ狂っていたのは農民戸籍で都市で虐げられた人々だった。ジャスミン革命に端を発する中東・アフリカでの反政府暴動も、蔓延する貧困と格差に憤る若者が主体となっている。

日本も戦中戦後、飢えが全国を覆っていた。半藤一利氏の『昭和史』を最近読んだが、1940年代後半や50年代は三鷹事件や血のメーデー事件など、日本も騒然とした中でデモが頻発していた。それほど昔のことではない。
日本人は豊かになり、格差も減った。社会のセーフティネットが拡充された今、街角で飢える子供を目にすることはない。今回の衆院選挙でも若者の投票率の低さが指摘されたが、怒る対象がない以上、政治に関心を持てといっても限界があるのだろう。

しかしながら、日本製品が海外での競争力を失う一方、エネルギー輸入の増加等で月次では経常収支が赤字に転落している。今までの貯金を徐々に使い果たしてしまうような事態が起きているのである。今まで通りの暮らしが徐々にできなくなる可能性もある。
働く口もなくなって、自分の子供がもし病気になったら、飢えていたらどうするだろう、と自問してみた。やはり同じように物を盗んでまで救おうとするかもしれない、何としても守ろうと思うだろう、そう考えただけで身が震えた。
そんな事になる前にやるべきことはたくさんある。とにかく子供たちが苦しむような世の中にはしたくない。子供たちは街角で病気で死んだり、暴動で血を流すために生まれてきたわけではないのだから。

映画の話に戻って、豪華な出演者の歌声は本当に素晴らしかった。歌いつないでいくミュージカルやその映画版は普通の映画よりも観客に訴えるものが強い気がする。
フランス人はどんな風に見ているんだろう、ってちょっと思ったけれど。パンは「一つ」、ではなくて、きっと原作ではバゲット「一本」なんだろうし、アマンダ・サイフリッドはどうしても当たり役『マンマ・ミ-ヤ』のイメージが強かったし。でも透き通るような高音はどこまでも美しかった。

年末に生きる勇気を与えられた、そして守る者のためにやらなくてはいけないことが沢山あるんだ、っていう気がとてもとても強く感じられた一本。良い映画でした。




2012年12月24日月曜日

音羽の森オーケストラ ポコアポコ 東京聖カテドラル教会で演奏しました


音羽の森オーケストラ ポコアポコ、この度初めて文京区関口にある東京カテドラル関口教会で演奏させていただきました。

荘厳な建物の中で、パイプオルガンにも入っていただき、今まで自分でも聞いたことがないようなきれいな音色の音楽を奏でられたと思います。本当に幸せな機会をいただきました。


ちょっと引いての映像ですが、こちらもよかったら。
http://youtu.be/J_0OmvGvkJg
「ニュルンベルグのマイスタージンガー」前奏曲 です。

6歳から60代まで今回は総勢46名。
この中の誰一人プロはいません。近くの公立小学校を中心に子供たちが10人、あとはその保護者で音楽好きが集まり、月に一回程度練習をしています。こんな形でクラシック音楽がもっともっと身近になっていったらって思います。

ベネズエラのチャベス大統領は独裁者として批判も多い人ですが、その貧困対策の一つは目を見張るものがあります。子供たちにバイオリンなどの楽器を無償で配布し、現在ベネズエラでは286か所で35万人が音楽教室に通うという、世界でも類のない音楽国家を創設してしまったのです。まさに独裁者でなくてはできない芸当ですね。
反米で、とかく世界的な批判にさらされやすい国ですが、武器でも麻薬でもなく、楽器のアンサンブルに夢中になる子供たちがいるこの国の未来は明るいような気がします。

こんな大きな話には到底できないけれど、音羽の森オーケストラ、その名も「ポコアポコ」その名の通り、ゆっくり一歩一歩進んで行かれたらと思っています。

2012年11月27日火曜日

女性の社会進出と少子化


今月頭に開催された国際会議で、シンガポールのリー・シェンロン首相が自国経済の堅調さについてスピーチした際、ブレア元首相のシェリー・ブレアが、シンガポールの少子化について指摘したという。リー氏は女性の社会進出などを指摘したが、シェリーさんは、それは制度が整っていないことを理由に挙げてさらに批判したという。


これについては、日本でもよく耳にする議論で、なぜこれを題材にしようかと思ったかというと、先日も女性経営者の会でまったく同じ言葉を聞いたからだ。
当日のスピーカーは寺島実郎さん。いつも明瞭な時事解説で、尊敬する方の一人である。当日も米国のシェールガスの実用化の進展により、世界の地政学、力学が変化しているというお話を分かりやすく解説して下さった。
ただ、それだけに大変残念だったのが、最後のQAタイムで、「女性がもっと社会で活躍できるには」、と質問が出た点に関して「女性には均等に機会を与えているのに、自分の部下などを見ていてもどうしても女性は伸びない」「積極さが男性に較べて欠ける」「育児休暇を取ることによってチームの他のメンバーにしわ寄せが行ったりする」という内容のことをおっしゃったのだ。とても幻滅してしまった。 

「少数派」の場合、多数派の人には気付かない色々なハードルがある。特に妊娠出産する女性に対して、「他の人に迷惑がかかる」は日本の会社でよく指摘される点である。
先日も銀行で一人目を出産して復帰した女性と話していたら、もう二度と育休は取れる雰囲気ではない、という内容のことを話していてぞっとした。
私が言うと自己弁護にしかならないけれど、、、(というのも本当に銀行時代まわりの方には産休育休で助けていただいたから)、、でもでも考えてみてもほしい。そんなこと言ってたら少子化、国力減退は止まらないでしょ特にキャリアを積んできているような優秀な女性が遺伝子残せないなんて他方で子供産んだら社会で活躍できないなんて。そんなこの国にとってどれだけマイナスか。

ちなみにアジアでの女性の進出度合いを調べたくて見ていたら、マスターカードが女性の社会進出度調査を継続して行っていたのでここに引用する指数は、それぞれの市場において、女性がどのくらい男性と同等の立場にいるかを示し、スコアが100以下の場合は男性優位の男女不平等を表し、100以上の場合は女性優位を表し、スコア100が男女平等を意味するという)。 
シンガポールの総合指数は「77.4」に対し、日本は「64.8」とさらに低い数字であり、
「企業および政府機関の管理職」の分野で男女均等を達成したのはフィリピンの192.3」のみ。シンガポールは「65.5」とまだマシで、日本に至っては15.0」とアジア最低を誇る

女性も進出できないし、それでも少子化は止まらないし。シンガポールよりもっと深刻な国になってしまっている日本について、シェリーさんはどんな風に思われるだろうか。
  

2012年11月20日火曜日

国民栄誉賞について教育という観点から


先日、レスリングの吉田沙保里さんの国民栄誉賞の受賞が決まった。
13大会連続世界一なんて途方もない記録、打ち立てるまでにはとんでもない鍛錬あってのことなんだろう、とそれを聞いてまず思う。オリンピックの時も寝ないで見ていてよかったとつくづく思ったし、上がる日の丸を見て、本当に日本人で良かったー、ありがとう!って気分になったものだ。

ただ受賞に際しては、一部で疑問も唱えられていたという話を聞いた。
これまでの受賞者を見ると、スポーツ選手か芸能人、歌謡曲の作曲家、漫画家、といったところか。
「前人未到」の記録ばかりだし、国民に感動を与えて、その時代の金字塔になったというような方々ばかりだ。ただ、言われてみればそれが最高峰の栄誉なのか、というと議論の余地はあるのかもしれない。
しかしながら、「国民」の「栄誉」というには、狭い範囲のみに与えられている賞であることは否めないかもしれない。

スポーツ選手の多くは現役時代はとても評価されるが、その後解説者になって活躍できるのはわずかである。

若者の中には、勉強はダメだったけど音楽で、ということでギター片手に上京して、街角でシャウトしてたりする。本当に売れて生計を立てられるのはほんの一握りの人たちに過ぎない。

こういう実態をツラツラ考えていくと、必要以上にこれらの限られた職種・選択肢を過大評価するのは、子供たちの教育上、リスクありと言えなくはない。

さらに、音楽・芸能は狭い範囲に限定されていないか?という疑問だってありうる。例えばクラシックの音楽家、バレエダンサーなど、日本の若者が世界では高く評価されているのに、本国での評価がそれに伴わず、海外在住、海外公演をしているという実態があったり。


何もこれらの人たちのものすごい記録を否定しようと思っているわけでもないし、子供たちに夢を見るな、と言っているわけではないのだけれど、これからの日本、ますます地に足をつけて「勉強」や「努力」をしていかないと、これまでの貯金をどんどん使うだけの国になってしまうからね、ということは大人が言うべき義務だろうと思う。そういう意味で、議論がなされたというだけでも一歩前進かもしれない。

もっともっと評価されたら良いもの?そうですねぇ。数学オリンピックとか、起業家とか。ノーベル賞も変な改ざんしてた方ではなくてきちんと受賞者の方。
これからの日本経済・産業を引っ張っていくような、そんな方向で努力していることが報われるような、そんな評価座標に脚光が当たってほしいと思う。






2012年11月14日水曜日

習近平氏についての話を聞きました


中国で正式に習近平体制が開始する、という本日、ちょうどタイムリーに沈才彬氏の「習近平体制の誕生と日中関係」という講演を聞くことができました。
私が知らなかった話がたくさんありました。

まず「コップの中の民主主義」と講師は仰ってましたが、今回は共産党内の秘密投票とは言え、2007年6月、2012年7月という二回の投票の結果、ダントツの一位という人気度を得ての就任であること。胡錦濤氏がパワーバランスを取りながら知的武装せざるを得なかったのと較べ、より強固な政権基盤が築ける可能性が高いということ。

それから習近平氏の経歴については、太子党でおぼっちゃん育ち、というイメージを持っていたのですが、実は副首相だった父親は文革で刑務所と軟禁生活合わせて16年の苦労をし、近平氏自身も少年時代は父とともに軟禁されたこと。その後、彼自身も農村に下放され、6年間の重労働を強いられたこと。逆境を乗り越えているから強さがあるんだ、と月並みに納得しました。

父親のチュウシン氏は78年の名誉回復後、広東の初期に就任し、鄧小平氏の改革・開放路線の先陣となるような改革を成し遂げ、中国沿岸部の発展に大いに寄与した立役者とのことでした。そのようなお父さんの手腕を身近に見ながら、ポストを歴任して今の地位になったのか、、、と。12億の中のトップって、、と気も遠くなります。

減速しつつある中国経済、貧富の格差、緊張高まる対外関係、政治腐敗などなど、多くの課題が待ち受けている中で、明日入れ替えメンバー7人が選ばれ、来年3月の全人代での政権交代に向けて着々と中国の新体制が築かれていきます。何も起こらなければ長期政権となるであろう習氏の体制がどうなるか、注目したいです。
天皇との特例会談でのバッシング、9.11新体制移行時の尖閣諸島国有化、など日本に対して持つイメージは必ずしも良くないと言われている同氏ですが、二国双方のためにも、日本の新政権との間では新たな関係が結ばれることを、二国間経済の円滑化という観点からも切に願います。

ところで、中国では役人の腐敗が悪化して問題となっていますが、なんと党幹部の95%は愛人がいる!中には46人も愛人がいる幹部も?!とかさまざま報道もされているそうです。どうやってアンケート取ったのかしら、、とかちょっと知りたい・・

2012年10月23日火曜日

香港経由の中国進出と日中関係の現状について


本日、法律事務所のSidley Austinなどが主催する、香港活用セミナーに参加しました。

香港経由で中国に進出するというスキームは、下記のようなメリットがあり、弊社でもここ数年お客様に勧めてました。
-香港の低税率を利用できること、
-香港・中国経済貿易緊密化協定(CEPA)の枠組みを利用できること(=要はFTA)
-オフショア法人を利用して、譲渡や撤退、香港証取への上場も相対的に簡単であること

QAセッションでは、現状の日中のビジネスの状況について質問が飛びました。
JETROが調査しているようですが、税関ではもともと日系企業は長めにかかっていた審査が、より一層長くなっていたり、ロイヤリティの取り扱いで不利な結果がもたされたり、と相変わらず続いているようです。
中国人律師の方は、来年3月の全人代で中国政府の権力構造が確定するまでは、今のようなぎくしゃくした関係が続くのではないかと指摘されていました。

尖閣に香港の活動家が上陸したことから始まった今回の騒動だっただけに、香港も対日感情が悪化しているのかという指摘もありましたが、特に今まで聞く限りではそれはなさそうです。
むしろ、直接進出する上での地政学的リスクを回避する意味で、香港を活用する例は増えてきそうです。

日中の貿易や日本から中国への直投は鈍化が指摘されていますが、不思議なことに進出自体をとりやめたという話は少ないようです。今回のスピーカーの弁護士、会計士、コンサル、どの方も実際にdeclineした案件はないと仰っていました。

弊社でも先日一つ進出に関するマーケット調査のレポートを提出したばかりで、そのリサーチの際に現地で聞かれた話では、既に中国に進出している食品メーカーや外食チェーンは、一様に安堵している、と。
すなわち、これで日本からの出店ペースも鈍り、日系間での競争が緩和されることを期待しての発言だそうですが・・何ともみなさん逞しい!と改めて思いました。

2012年10月9日火曜日

学校教育費の対GDP比


先日、ブラジル資本市場のセミナーで、ブラジルは対GDPで教育費がここ5年、毎年5%を超えている、それだけ次世代に対して投資をしている、という話がありました。

自慢すべき水準なのだろうが、いったいこれは相対的に見たらどんな水準なのだろうと思って調べてみました。原典にあたる時間はないですが、『社会実情データ図録』というサイトにこのような一覧があったので、引用させていただきました。



なんと日本の水準の低いこと。特に公的支出の値は調査対象の29か国中最低水準となっています。
教育は公的支出の対象となる社会保障ではなくて、個々人の投資に依拠してきたということなのですね。

アイスランド、デンマーク、スウェーデンといった北欧諸国や、イスラエルの値が高く、私費負担含めて米国や韓国が高いというのはうなずけます。
仕事先で特に金融関連の人材には、米国にいるユダヤ系の人間が多いのですが、その知り合いたちの子供のころから親が教育にかけてきた投資、というのを聞くとその熱心さにただただ舌を巻きます。
韓国は受験戦争が厳しく、私費負担が高いから少子化になっていると理解していましたが、 やはり突出して高いのですね。

これって実は「将来の国力」に密接につながる話なんじゃないか?!ってとても心配になります。

日本の今後の教育投資を占うという上では、中央教育審議会が今後の教育投資の水準について議論しているようですが、そこでは高齢者福祉などにさらに傾斜するために、教育向けの予算は削ることも念頭にあるとのこと。これではますます少子化傾向に拍車がかかるのではないかな、とこの結果を持って思いました。

2012年9月27日木曜日

Best Brazilセミナー開催をサポートいたしました

 
ブラジル政府公認で、金融・資本市場を紹介するプロジェクトの代表が来日し、セミナー行いました。
代表団には中央銀行の筆頭副総裁、サンパウロ証券取引所、銀行協会連盟からの代表など、ブラジルの金融関連のさまざまな機関の代表が一堂に会し、それぞれの資料を基にブラジル経済や資本市場の現状について話しました。

当日は金融機関を中心に、友人のみなさんもご参加いただき、ありがとうございました。

興味深かったのは、ブラジルの輸出相手の分布。旧宗主国であるポルトガルを始め、南欧諸国とのつながりによる、ネガティブな影響を懸念した質問に答えてのものですが。

中国17.3%
EU17.1%
ラテンアメリカ・カリブ諸国13.5%
アジア 12.8%
米国10.1%
アルゼンチン 8.9%
ドイツ3.5%

これだけ相手国が分散がされていれば、経済の先行きについてリスクヘッジが効いていると言えますね。ちなみに日本は上位10か国中に6か国アジア諸国が入り、輸出先の半分がアジア。中でも中国は全体の2割近くに達します。



2012年8月4日土曜日

100年企業、200年企業


今年の5月、7000万ドルの資金調達をしたEvernoteのPhil Libin氏は、
「私の目的は単に金を儲けることではない。100年後にも続く会社を作ることだ」
と語って有名になりました。

同社クラウドサービスのヘビーユーザーである私にとっては、とてもほっとする発言でした。しかし米国では、このコメントは少し驚きをもって迎えられた、と当時報道されました。最新の技術がめまぐるしく変化する今日、100年後の話をするのは不思議、とでも言うことでしょうか。

永続企業と言えば、日本のお家芸。
200年以上続く会社の40%は日本にある、という話を読んだことがあります。
フジサンケイビジネスアイの連載をまとめたものとのことですが、創業200年以上は日本に3,100社。
ドイツ800、オランダ200、アメリカ14を大きく上回る数字です。
先日、ミーティングした中国人の方に逆に教えてもらったのですが、創業100年以上は日本では21,666社、対する中国はまだ5社に過ぎないとのことでした。

日本で多い業種は旅館、料亭、酒造、和菓子で全体の4割。二番手のドイツはパン屋、地ビールだとのことです。いずれも、技術革新がそれほどない業種、とも言えるのかも知れません。
そして日本は、オーナー一族が経営と資本の双方をファミリーで握り、後代にバトンタッチしてきた、という例が多いようです。
中小企業も含めた日本の社長の平均在職年数は、30年弱ですから、100年では3-4代、200年だと7代もバトンをつないできたということで、何ともすごいお話です。
逆に「会社が永続しない」ということは、雇用していた従業員を解雇せざる得ず、債権者などの取引相手にも迷惑をかけるということですから、永続するに越したことはないのですよね。日本が誇れる記録の一つだと思います。

ただ、日本の技術立国としての地位が危うくなり、経済も停滞している今日あって、敢えて穿った見方をすると、このように市場に同じプレーヤーが存在し続けることで、本来必要な新陳代謝が進んでいない、といういい方もできるのかも知れません。
失敗が許されない国なだけに、一か八かのチャレンジをしないから大きな失敗もしない、無難な存続の仕方を模索している企業が多い、という言い方もできるのかも知れません。

アルバ・パートナーズは?って聞かれたら?
間違いなく、長く続く企業を作りたいと思います。できるだけ多くのお客様に末永く喜ばれるような、誇れる会社にしたいです。
日本的発想でしょうかね。

2012年8月1日水曜日

オリンピックの経済性について

オリンピックが始まって、テレビ観戦で昼と夜が逆転してしまって、という方はたくさんいらっしゃいますよね。

キャメロン首相は、「ゲームをゴールドに」という合言葉で、これをイギリスの富につなげると宣言し、英政府も130億ポンドの収入などと試算しているようです。
しかしながら、歴史的なデータを取ってみると、これはかなり難しそうです。

先日のエコノミストによると、1960年代からのオリンピックのお金の出入りを研究した専門家がいて、オリンピックの公共投資のコストオーバーラン(プロジェクトの当初予算を上回ったコストのこと)が平均179%!と言っていました。これは通常、ダムや高速道路を作るのような大規模プロジェクトに比べても桁違いに大きな数字。
4年に一度、しかもまったく違う地域で行われ、情報の蓄積・共有なんてされないのだろうと思いますし、専門性の高い施設となると、予算設定が難しいのかもしれません。

上回った分のツケは?という問いに、もちろんtax payerさ、とエコノミストの解説者は答えていました。オリンピックまでは建設ブームで経済が活況を呈しても、その後停滞するケースは枚挙にいとまがないですよね。巨大な規模の素敵な施設がたくさんできても、その後使い手がなければ回収はできないわけで。その割を食うのは国民である、と。


では選手は、というと、スポンサー契約の口が見つかる一握りのスターを別として、その後は別の職に就き、オリンピックで何か収入を得るわけではない。すなわち、ア マチュアリズムに付け込んで、ギャラ無料の出演者から他に類を見ない規模の収益が上がるという意味では異様な祭典なのかもしれないです。
その収益はスポンサーや広告代理店などに流れていくのでしょうか。
GEは2006年トリノから通算4回のオリンピックで、インフラなど10億ドルの受注って出ていましたね。スポンサー契約を20年まで延長したとか。さもありなん。


翻って日本。
東京商工会議所の1階に「オリンピック開催地決定まであと何日!」という看板があり、毎日日にちが減っていくのですが、どこまで深く考えてこの誘致の議論ってなされているのでしょうか。原子力政策のツケで電気代も上がる日本で、さらに五輪ゲットのツケまで払わされたら・・
恐ろしや・・・
まぁせめて開催期間だけでも楽しんで観戦することにしましょ。







2012年7月26日木曜日

ゆとり教育、海外でも有名だったのですね

本日、会社に中国でコンサルなど複数の業務をになう会社の中国人女性経営者が、部下の女性を伴って来訪。
アルバ・パートナーズはこちらの会社とは頻繁にやりとりをしていますが、直接会ってのミーティングは実は初めて。2時間にわたり、現在進捗中のプロジェクトについてなど、やりとりしました。

先方が何かの話の折に「あはは、それは条件反射ですね、ロシアの犬だ」と仰ったので、
こちらも「あはは、パブロフですね」と応じたのですが、そこでふと、日本のゆとり世代の教育では「パブロフの犬」が教科書から漏れたという事実を思い出しました。
少々脱線して、実は日本では・・・と言及すると、なんと中国人のお二人も「ゆとり教育」についてはよくご存じで。
「日本ではπが3.14ではなくて、3になってしまったのでしょ?」、と。
中国でも揶揄をこめて有名になったとか(ちなみに中国でも円周率は円周率と言うそうです)。

その女性社長はその昔、日本人学校で中国語を教えた経験があるそうで、「日本人は言われたら何も言わずにやるから偉い」「中国人はまず、それはなぜ必要なのか、やってどういう効果があるのかなどと、生徒が先生に質問するからもううるさくてね」、とも仰っていました。
何だかそれって良いことなのだろうか、とまたまた心配になる私です。みんながみんな、与えられた仕事だけやっていれば済む時代であれば、そういう国民性は評価されるべきなのでしょうけれど、これからは中国人的な発想(これって欧米の生徒もそうだと思うのですが)で、その都度「考える」という反応も大事なのではないかと思うのです。

中国の工場で日本から派遣された総経理が、現場の部下から質問攻めにあって、納得させられず。そのまま最近では争議に発展してしまって、、という話をまた最近お客さんから聞きました。
日本では、上司が部下から意見される、ビシバシ質問されるという経験はそれほど多くないと思うので、対応にも苦慮されることでしょう。それが、子供の頃からの先生とのやりとりに見られるように発想の違いに根ざしているとしたら結構根が深い問題です。

本日来訪した社長さんは、近年、中国人はどんどん教育要領が重たくなっていて、詰め込み教育ばかりしていていいのか、と疑問を呈しておられました。しかしながら、中国では、その詰まった教育内容の上に、人々はさらに豊かになるために子供のうちから切磋琢磨しているわけで、弊害はあるにせよ、日本がゆとりからようやく脱却した今日、国力の差は開くのではないかと思ってしまいます。

楽天の三木谷社長が最近出された本、『たかが英語!』で、日中のTOEICの平均点のデータを比較されていました。
1998年と2005年の平均点を比較したものですが、
中国の平均は505点→573点
日本の平均は448点→457点
2005年時点から7年も経過していることを思うと、さらに水をあけられているのではないかと、空恐ろしくなります。
これでマーケットが縮小するから、円高だから、って世界で仕事しろなんて言われても、ですよね。

それにしても、ゆとり世代の子供たちはパブロフと聞いて、ポカンとしてしまうのでしょうか。教育政策の失敗は罪深いと思えてならないです。





2012年7月11日水曜日

ヒューマン・ライツ・ウォッチの土井香苗さんのお話に心揺さぶられました

世界の人権侵害の実態について世界の国々にランキングがついているそうです。NGO「国境なき記者団」という団体が毎年実施しているそうです。

そのランキングで、北朝鮮より下の国があります。「エリトリア」という国です。そこでは、長い内戦の終了後、ようやく民主化への歩みがなされていたにも関わらず、2001年に起きたクーデタで独裁政権が発足。多くの人が投獄され、海外に逃亡しようとする人は射殺されるなど、人権を無視した政権が10年以上にわたり続いているそうです。

土井香苗さんという弁護士さんは、司法試験合格後、大学4年生だった98年にそのエリトリアにわたり、同国で、法律改正作業に従事されました。あいにくその一連の法改正作業は日の目を見ず、土井さんが滞在中に交流のあった知識人たちは投獄されたり、亡命したり。そして、今日の悲劇が続いているそうです。
土井さんはその経験を生かし、ヒューマン・ライツ・ウォッチの日本代表に就任され、下記のような手法で人権侵害の状況を改善しようと日夜奔走されています。

<同NGOの取り組み>
①世界で人権被害に遭っている現状を調査して公表
②ハーグのICC(国際裁判所)への訴追
③国の力を以って外交圧力をかける
日本はあれだけ巨額のODAを払って、発言力を買っているはずで、多大な影響力を持てるはずなのに声を上げない、もったいないと仰っていました。

それから、このNGOは国家からの資金サポートを受けない方針であるため、民間からの資金調達も数名のスタッフで行っているとのことでした。ファンドレイズのためのパーティーなどもしていらっしゃるそうです。

巨額な寄付ではお役に立てないけれど、PRや翻訳など弊社のサービスで何かお手伝いができれば、と強く思ったのでした。

  20090702_aera (←2001年のお写真。今はますます美しさに磨きがかかってました。)

本当にチャーミングで美しい方でした。
ヒューマン・ライツ・ウォッチはこちら http://www.hrw.org/ja

2012年7月7日土曜日

女性の社会進出だの、ワークライフバランスだの、って一言では言えない問題について

長男は公立の小学校に通っています。
イマドキの学校が押し並べてそうなのか、この学校特有なのかは分かりません。
が、とにかく「学校公開」、昔で言う「授業参観」が多いのです。
月に1回くらいのペースであります。
土曜に開催される時はまだしも、平日にあったりすると、ワーキングマムは頑張って半休を取るなどするか、諦めるかしかありません。
子供たちは、というと、学年が低ければ、親が来ると嬉しそうに手を振って、ほっと安心して前を向き授業に集中。親に「恥ずかしいから来るな」、なんて言い出す年になってもまだ、実は親が来るのかどうか、何度もちらちら後ろを見ているものです。
わが子のその姿を想像すると、母親としては、仕事をしていることが良いことなのか、それとも職場やお客さんに多少迷惑をかけてでも出席するべきなのか、いつも悩めるわけです。


育児中の仕事のスタイルについては、「ワークライフバランス」なんていう言葉の中の一つとして、十把一絡げにされがちです。でも、中を分類していくと実に細かいバランスが必要。
それは、出産後、保育園に預け始める頃から始まって、ずっとずっと背後霊のようにつきまとわれる問題なのです。

出産して一ヶ月検診という名の初めてのお出かけが終わると、まず怒濤のような予防接種。ものによって、同時に複数打てたり、既に打つ前から混合になっていたり、一週間後にもう一度受けられるもの、1ヶ月経たないと受けられないもの、本当に複雑。仕事に復帰してからも、この工程は数年続きます。病院が土曜にやっていたとしても、混んでいて病気をもらいがち、だったらやはり平日半休を取って連れて行くか、とか。

それと並行して、保育園に預けるのか、保育園は認可園に入れるか、認証だとどのくらいの負担か、ベビーシッターなどの補助を頼むとどのくらいの出費か、仕事での収入に対して、どこが損得の分岐点なのか。そして預けるとして、育児休暇をどこまで取るのか、復帰したら時短とするのか、そうするとどのくらい収入が削れるのか。などなどなど。

幼稚園に上がる年になったら、保育園から幼稚園に転園させるべきか。お稽古は人並みにやらせたい、とするとどういう手段で送り迎えするのか。お稽古代を稼ぐためには、やはり仕事はやめられないのか。幼稚園に行くとすると毎日作るお弁当と遅いスタート時間。どうやりくりするか。

途中でいったん職場を退いた後、どうやって復帰するか、その時にはどんな職種がありえて、はたからはどんなサポートがありうるのか。

どんどん書いていくと、こんなことに興味のない方には恐ろしくつまらない投稿になってしまうので、この辺でいったんやめます。

こう長々書いてきて思うことは、一番の問題は、こういうさまざまな悩み、その時々の決断、その結果としての負担を、主に世の母親のみが担当させられてしまっていることではないでしょうか。
上記に書いてきたことの多くは、自分も悩んできたことであり、そして多くの友人の相談に乗ってきたことでもありました。仕事と育児の板挟みで、すりきれそうになって心身ともに病んでいる友人もいます。
中途半端な時間でしか働けないことによるストレス、子育てに十分に時間を割けないことに対する後ろめたさ、散らかった家を片付ける時間のないことによる自己嫌悪、そんなのを全てを背負って、日本のワーキングマムたちは歯を食いしばってたりするわけです。

女性の社会進出に数値目標を、とかワークライフバランスの充実のために男性も育児分担を、とか、どちらもとても良いことだけれど、そんな簡単な言葉で言い切れちゃう話なんかじゃぁ全然ないわけ。


今月の「学校公開」も仕事で行ってあげられなかったり、昨日はそもそも子供を持つことに不安を感じている働く若い女性と話したりして、ふと心にスイッチが入ってしまいました。
これはまずはジャブ。こういうことにも、もっと声をあげていかないと。

2012年6月13日水曜日

ひっそりと仕分けられてしまいました...


  集合写真  

先日、内閣府の「自分仕分け」、 すなわち、自ら事業の無駄を洗い出す「府省庁版事業仕分け」で「世界青年の船」事業が廃止になってしまいました。

昭和42年度に開始された「青年の船」事業は、日本の若者がまだ自力で海外に行くことが難しかった時代に、政府が日本青年を海外に派遣するという、正に日本国中の青年に大きな夢と希望を与えた事業でした(同事業ウェブより抄)。
(写真上:第1回青年の船出港式(1968年))
さらに ここ10年は、「青年社会活動コアリーダー育成プログラム」が追加されたり、招聘した外国青年と、国際的な問題に関心の深い日本青年とが率直な意見交換を行う「討議セッション」が追加されたり、と設立当初の趣旨を汲み、さらに深化させたことが分かります。
しかしながらこの事業は、今月仕分けの対象となり、45年に及ぶ歴史に幕を閉じることになりました。

実はこの事業、父方の祖父が生前の役人時代に、数年をかけて実現したプロジェクトでした。祖父は率先して自分も船に乗り、また、たくさんの方々から報告の手紙や写真をもらったりしていました。
私が幼いころ、祖父の家に行くと、写真が手元にわんさと積み上げてあり、初めて見る外国の風景、外国人の様子に目を見張りました。
まさかその数年後、自分が親の転勤で異国の地を踏み、そしてさらにその後、日本と海外をつなぐ仕事をするとは、当時は想像だにしませんでした。

政府の決定にとやかく口を出す立場にはありません。
ただ、パスポートを持つ若者が減り、内向き志向が指摘される今日の日本にあって、若者が海外と接点を持てる機会が、別の形に昇華されて存続することを切に願います。
国境をまたいで青年同士が一緒に生活をして、腹の底から理解しあうことの重要性は、飛行機の時代になっても、インターネットの時代になっても、そんなに変わらないのではないかと思うからです。

2012年5月16日水曜日

コマツ坂根会長の金言から「育じぃ」化のすすめへのこじつけ

本日、早稲田会議CEOラウンドテーブルを見学。コマツの坂根会長のお話を聞いてまいりました。
学生やらサラリーマンやら多数殺到しており、多くが立ち見という状況でした。

数々のお話、どれも興味深かったのですが、中でもコマツの女性管理職5人の方のお子さんの平均出産数が2.7人というのに驚きました。

6年前に始まる同社の石川工場の拡充が要因とのこと。
石川県は女性の就業率が日本でも高い県であるにも関わらず、一人当たりの女性の出生数は高いのだそうです。
その高い就業者数も、50歳代には急に下がるのだそうで、これはお孫さんの面倒を見るためにリタイアする方が多いことによるとのこと。つまり、じじばばサポートがバックアップとなって、女性の高い就業率を支えているのだそうです。

これは実はいろいろな意味で利点ありなのではと思います。
第一に母親にのみかかる育児の負担は軽減され、就業も容易になる。
二点目として、三世代、四世代で子育てをすることにより、核家族化の進行により崩れてしまった「地域での子育て」が可能になる。ただただ長時間保育園に預けられているよりは、子供の情操面にとってもプラス。
三点目、東京一極集中を軽減し、地域の活性化が図られる。
そして最後に、会社の若返りが自然と図られる!会社での「先輩」層が早期にリタイアして孫の面倒を見る育じぃになってくれることにより、若者にポストが分け与えられる。
あんまり大きい声では言えないですけど、これって今の日本にとって、必要なことですよね。育メンが急速に市民権を得ている今日、じじたちの育孫サークルの拡充も合わせてできないでしょうか。それによって、どんどんリタイアを促していただいて、固定費負担を軽減できる会社が増えたら活性化するんじゃないか・・(あんまり言うとお客さんの役員陣に怒られてしまいそうですが)。

他にも坂根会長のお話で面白かったのは、以下の3単語の違い:

Selling =できた物を売る
Marketing =ニーズに合わせた物を売る
Branding =売れ続ける=当社でないと困るお客さんの度合いを高める
日本にはSellingやMarketingしか意識できていない企業がほとんどだ、と仰っていました。確かに売れ続けるため、お客で居続けてもらうためには、ただただお客の言うこと聞くことではなく、付加価値を提供し続けられるかどうかなのだ、ということですね。これは言うは易いけれど、なかなか難しい。同社がComtraxなどで中国市場を開拓していったことと合わせて、思いを馳せました。


2012年5月9日水曜日

旅行編 山陰~九州南部~四国 と車で回って

今年のゴールデンウィークは、鳥取経由で島根2泊、山口下関、熊本経由鹿児島2泊、宮崎1泊、四国経由で神戸1泊と車で回ってきました。総走行距離3,460kmの旅でした。
飛行機や新幹線だと早すぎて見落としていたこと、これまで気付かなかったことをみつけては、新鮮な驚きを感じました。それを以下につらつら書き留めてみました。

【交通関連】
-高速
車のナビは4年前の高速を反映(アップデートしていなかった)していたので、今回いかにナビに掲載されていない新たな高速が竣工しているかを思い知る。公共投資はここ数年で削っているはずにしても、これだけ建設されているとは意外。そして、やはり高速があるとないとの違いは大。地元の方々の思いも慮られる。中国地方は部分的に作っては無料区間とし、高速の便利さ地元に認識してもらって、民間資金を誘い入れる考え。道路公団が建設ができなくなりメンテのみになったので、今後の全線開通させるには民間資金をいかに活用するかが課題。九州の東側も本当に一部のみ高速が竣工。しかしこちらは無料区間はほとんどなし。

-市町村名の看板
高速や国道の横には、県境や市町村の境に名所や名産品の絵の描かれた市町村名が明記され、四国地方では絵だけが残され市町村名部分が消されているところが散見された。平成の大合併の影響か?
豊田市の看板は、車の絵はいいとして、その横に紳士淑女までが描かれていて失笑(企業文化というか自意識の現れ?)。

-渋滞
Twitterで真っ先に知る時代。JARTICなどより早いし、詳細。いらんことまで誰かが呟いている。(以下蛇足だが・・)渋滞になると後部座席の野獣はなぜかいらいらテンションが上がり、ここでビートのかかった曲がかっていると喧嘩をするが、クラシックをかけるとcalm downする。これぞα波のなせる技?

-車の車種
名古屋周辺地域のプリウスの多さ、プリウス以外の東京ではあまり見かけないハイブリッド車も散見。
山陰、九州では地名の後は2桁のナンバーがかなりの比率(東京では現在はほとんどが3ケタナンバーか)、車は大事な家族?改造や洗車をして手をかけている人が東京周辺より多い。
-フェリー
甲板で興奮している一元さんは我が家のみ。一段落して下に行ってみると、みなさん8割方睡眠中。四角い枕まで準備されていて、「本日は満席のため、横になって寝るのはお控え下さい」と張り紙。さらにそこに紙が付いていて「ただし出港まで」と。この禁止規定と、出港までという区切りと、ほとんどの人がさはさりながら寝ているという事実がよくわからないまま時が過ぎた。

【自然編】
-植生と気候
中国地方は稲作、四国は麦畑と溜池、九州は山が迫って平地は少ない。火山灰地で栽培できるお芋を導入した薩摩藩は偉大。中国四国地方は九州に比べて平地が開けていて稲作がさかん。九州に入って南下すればするほど木が生い茂って、丈も高い。モコモコっていう表現がぴったり。
熊本は湿潤、鹿児島、宮崎と行くに従い湿気がなくなりトロピカルに。シーガイアの名にも付いている「フェニックス」とは、自生しているヤシ科の植物で、宮崎県の木。天候は山の天気のように変わりやすい気がした。鹿児島は火山灰を警戒して桜島からの風向き予報あり。火山灰を払う専用のワイパーあり?こまめに掃除しないと窓が開かなくなる悲劇も。

-田植えの時期
東京近郊は出発時にはまだのところが多かった。静岡あたりから田植えの光景が見られ、中国でもトラクターや手で植えている農家を多数見かけた。他方、九州では稲がかなりの丈に既に育っていた。日本は縦長な国であることを再認識。

-その他
高速虫(高速を走っていると哀れなことにフロントガラスにてご臨終される虫たち)、ツバメの数、南に行くに従い増えた。

【その他】
-島津くんこぼれ話
薩摩の33代目藩主(世が世なら)は銀行時代に机を並べた親友。彼は今、大名庭園である仙巌園の管理と神主の二足のわらじに加え、鹿児島での財界活動に忙しい。仙巌園で晩餐をいただきながら聞いた話。

(なぜ薩摩が日本の辺境の地にありながら近代化の礎となりえたのか、の問いに対し)
薩摩、長州、土佐は突端に位置。他の世界との接点であり、いつ攻め込まれるかわからない、そのためには最先端の情報収集と技術習得が必要、という意識が常にある。内陸部とは違う。
(参勤交代ってこの道中をずっと歩いたの?船は利用できた?)
徳川家にとっては、有力大名の力を削ぐことに主眼があったから、参勤交代は原則歩き。船の利用は特定の場所のみでほとんど許されず。班ごとに分かれ、各宿場町で合流した。

(神社は祀られている神様によって雌雄あり)
屋根の棒が奇数の場合が男性、偶数が女性。

(ザビエルとその先遣隊が見た日本)
ザビエルが来訪する一年前、既に先遣隊が来て、文章を残している、そこには、島津の家紋(当時の家紋は現在の十字に○ではな く、十字のみ)を見て、クリスチャンが既に沢山いると勘違いしたこと、指宿を見学して、日本人が砂に埋まって温浴している(!)と書いている。

-神話と古墳の古里
山陰も九州各地もやはり日本の始祖であり自分たちの起源の場なんではないかな、と感じられることが多々あった。それは神話にちなんだ場所であったり、神話期の神様や天皇を祭った神社であったり。とにかくいたるところに点在している。今年がたまたま古事記1300周年の年であり、たまたま旅行直前に竹田恒泰氏(明治天皇の玄孫)の古代日本に関する本を読んでいたこともあり、今回の旅行が偶然にしてはちょっと不思議な感じもした。

-その他のその他
屋根の色、墓石の色(地域により取れる石によって異なるものと思料)や形、生けられているお花(墓石が影響しているのか、比較的いろいろな色が見られる東京近郊は菊などで白基調で、おとなしめの色合い、替わって九州では色とりどりな花が多く見られた)
鯉のぼりの建て方(屋根から横、あるいはななめに長く引っ張り、だいたい5匹くらい泳いでおり、横には息子さんと思われる名前が入った幟が立っている。東京はスペース的にできなくなってしまっただけなのか)
温泉 九州は少し塩分あり、桜島の影響で砂蒸しも!
国民の教育水準の一定さ。日本は津々浦々まで普通に暗算しているが、欧米ではこうはならない。

【最後に】
日本は麗しの国。この美しい大自然や古代から続く長い歴史、もっともっと日本人が誇りにすべきことは沢山あるはず。子供たちの世代にも伝えていくべきだし、世界にもアピールすべきだし、やるべきことがまた多く見つかったように感じた。



2012年4月24日火曜日

欧州危機なんて言わせない?! 欧州の進んだ電力事情

昨日、元岩手県知事の増田寛也さんのお話を聞く機会がありました。

同氏は日本創成会議の座長として、エネルギー対策としてアジア大洋州電力網(APPG)を進めていらっしゃいます。
本日の日経一面にも電力不足の記事が出ましたが、関電管内、北海道、九州の各地域でこの夏、電力需給がひっ迫しそうとのこと。電力の供給サイドの安定は喫緊の課題でもあり、現在、やや感情論も横行している「脱原発」、対する「原発維持」、という二項対立で立ち止まっている議論を前進させるものとして、注目したいところです。

さて、その「アジア大洋州電力網(APPG)構想」ですが、電力需要が大きく、高い技術を持つ日本だからこそ国際連携を主導できる、と始めに謳い、オーストラリアの太陽光、インドネシアの地熱、国内の洋上風力などを、どどーんと海底ケーブルなどでつなぐという、大胆な構想です。これで、ピーク時の余剰電力を融通しあうのが目的とのこと。
電力系統の問題は大丈夫なのかな、とか、日本が主導なんていうことになると現代版「南進策」みたいな誹りを受けるのではないか、なんていらん心配してしまいますが。

これに対し、孫正義さんはモンゴルで発電して安い送電網で引っ張ってくれば、と提案されており、それに対して、このAPPGグループは「地勢学的リスク」(特に通る場所ね)を指摘しているそうです。

APPG構想を大胆とは申しましたが、実は欧州のスーパーグリッドはかなり進んでいます。右記は海上のグリッドのみを示していますが、赤は敷設済。さらにモロッコ等から太陽光で発電した電力を引っ張ってくるというグリッドが計画されています。欧州各地域は、このスーパーグリッドで結ばれ、風力(北海周辺)、バイオマス(欧州東部)、太陽光(地中海沿岸)など、各国の特徴ある再生可能エネルギーをつなぎ、不足分を火力で補う、という相互補完体制を構築しています。

さらに面白いのは、スコットランドのようにベンチャー企業とファンドを呼び込んで、欧州全域の電力需要の10%を賄うという計画を立てたり、スペインのように国内の発電関連ベンチャーの海外展開を政府が後押ししたり。再生可能エネルギーを経済成長の機会として大いに活用しようとする力強い動きがあるようです。

特に電力の世界では欧州に学ぶことは多そうですね。










2012年4月19日木曜日

フランスの70歳代の素敵な不良おばちゃまからの警鐘

本日は、イマジンの笹川社長の女性経営者を集めたランチ会があり、初参加させていただきました。
スピーカーはフランス在住のユミ・シャローさん。

おじいさまは慈恵医大の創設者で、大変なお嬢様でいらっしゃるにも関わらず、ご自分で編み物を売るなどして集めた200万円(当時)をも とに、単身フランスに渡り、高田賢三さんの右腕として活躍。以後フランスに在住され、最近では、Vendome AoyamaのVdeBブランドの顔として、アクセサリーデザインなども手がけられています。

70歳を過ぎても頭脳明晰で、おしゃれで、お茶目で。すっかりファンになってしまいました。(写真左がユミさん)このバッグもお手製なのだそうです。そして何を隠そう、ユミさんの旧姓は髙木で、アルバチームの髙木とは姻戚関係。世の中狭いんですね。

ユミさんにとって、働くということは、ちょっと不良でいたいから。そしてイコール自立。働き手を一本に絞る「専業主婦」というあり方は最大のリスクテイクではないか、と今の若手女性の「安定」志向に警鐘を鳴らしていらっしゃいました。なるほど。
70歳過ぎても、こんな風にかっこよく、そして若者に迷惑をかけないでお仕事が続けられたらいいな、と思いました。

普段はお目にかかれないデザイナーさんや、アパレル関係の方々などともお話しできて、新鮮な会でした。

2012年4月12日木曜日

草がなくなったら草食男子もいなくなる?

気付いたら、またすっかりブログをさぼっていました。
本日、某投資銀行のセルサイドアナリストとして活躍されているO先輩とランチ。
先週、先々週と欧州とアジアを出張で廻られて、投資家とのミーティングをされたとのこと。日本に対する見方は非常にお寒いそうでした。
特に香港、シンガポールは、税務的観点から、日本人が出ているファンドもずいぶん増えていることを改めて認識されたとのこと。
今後、日本どうですかね?と伺うと、「イマドキの若者を草食、草食、なんていじめちゃいけないよね」「アジアに出て行っちゃったファンドマネージャーだけじゃなくて、そのうち食べる草もなくなったら、やむを得ず草食若者たちだってどんどん出て行って、日本はもぬけの殻になっちゃう」「草食だって、日本にいてくれるうちが花よね」。
うーむ、仰る通りですね。

日本でヘッジファンドの運用会社を設立しにくい理由は、何か調べてみました(METI議事録等より)。
①税負担が大きいことが第一に挙げられる。日本で運用会社を設立すると、ヘッジファンド・マネージャーは成功報酬を得ても、およそ75%を税金として納めなければならない勘定になる(運用会社としての法人税と個人所得税の合計)。シンガポールに設立した場合、税金の額はこの1/4程度で済み、その差は大きい。

②(今は廃止されたが旧投資顧問業法の下では)投資顧問業の一任ライセンス取得・維持にかかる事務的負担も非常に大きく、これも日本で運用会社が設立されにくい理由の一つ。

③他にも、日本は立ち上げ時のハードルが欧米に比べて高いという事情がある。ヘッジファンドは運用業界のいわばベンチャービジネスなので、立ち上げがしやすいかどうかが非常に重要な観点。利益に対する課税の問題は、利益を上げた段階での問題で、まずはファンド事業を立ち上げることができるかが重要。例えば、海外でヘッジファンドを設立する場合のシードマネーは、2,500万~3,000万ドルが一般的。成功報酬が入らなくても、1.5%の管理報酬で3~4人のチームは回せる。他方、日本ではシードマネーが10億円を超えることは稀で、経営が軌道に乗るまではマネージャーの手弁当に頼らざるを得ず、非常に厳しい(特に初年度の1年間)。

④また運用会社を設立する場合、目論見書に、恒久的施設(Permanent Establishment, PE)とみなされ課税されてしまうリスクを記載する必要が生じる。以前に比べてPE二重課税の問題は改善されているとは言え、海外投資家に対して二重課税リスクを明記しなければならないのは、資金募集に当たって極めて不利なこと。従って日本のファンド・マネージャーは、リスクを明記する必要のないシンガポールなどに設立することになる。
などなどです。

日本からの頭脳流出を止めるには、規制緩和や税制改正だけで不十分かも知れないのですが、大きな一歩であることは確かだと思われますね。まだ今は「残り草」があるから「草食くん」たちも日本に残っていてくれるのでしょう。草食もいて、肉食も群がっているような健全な生態系の国に日本戻ることを祈りつつ(肉食女子より)。

2012年2月1日水曜日

中小企業対策資金も税金、銀行の公的資金も税金、なのに。

本日、東京産業人クラブの女性部会というのに出てきました。

今バンバン出ている中小企業対策について、中小企業庁長官が来られて一通り説明がありました。

中小企業金融円滑化法は24万件の申請に対して、22万件が適用になり、さらに中小企業基盤整備機構からのお金がいくつかのファンドを通して供給されたようですが、4000億円つっこんで、結局投融資が数百億円だったようなのです。これをもっとやらにゃあかん、と。

論調としては、銀行は使えない、まともに融資を出せない、だから、税理士などに加わってもらい経営計画書を作らせる必要がある。みなさんも、銀行などでひどい目にあったらすぐに連絡してほしい。そして女性社長さんの中には、銀行はひどい、役所でひどい目にあったと嘆願していらっしゃる方もいました。

中小企業対策に予算を回す最大の理由は雇用の吸収。今まで農業に何兆円も費やしながら、農家では離農が進み、結局、農家は平均年齢65歳超になってしまったじゃないか、それだったら中小企業に出した方が良い、と。
まぁそれはそうなんですが、その重点先として、小規模企業(町のパン屋さんやクリーニング屋さんなど)が挙げられて、うーむと唸ってしまいました。もう少し規模の大きい、イメージ100-300名くらいの若い会社で、これから海外を攻める時の軍資金、のような資金が最も投資対効果が上がりそうに思うのですが。売上という観点からも、雇用創出という観点からも。
海外に出ていく企業だと国内の雇用増にはつながらないから予算の適用はしにくいということかもしれないですが、内需の拡大にも限界がある以上、売上が期待できるマーケットが外にあったら配当の還流含めて収益力アップと考えていいはずでは?GDPの時代からまたGNPという物差しに戻す発想があっていいのではないかと思います。

いずれにしても、この中小企業対策って、今後、まだまだ続く可能性のある「バブル」かもしれませんね。


余談ですが、支援対策資金ってつまるところ税金ですが、リスケの結果積み上げられた不良債権が銀行に雪だるま式にたまって、処理すると資本金が毀損されるような事態になって、公的資金を申請なんて話になった時、この公的資金の方だけがまた大いにバッシングを受けるんでしょうね。不思議だわぁ。

2012年1月10日火曜日

米国金融界の今年の見通し

米金融界では、昨年度に関する総括や新年度の予想がいろいろとなされています。今期に関しては暗いトーンの記事が多く見受けられます。

証券業界は第3四半期(7-9月期)のエクイティビジネスが軒並みボトムの状況で、それぞれJPモルガン(▲8%), UBS(▲30%),BOAメリル(▲7%)、さらにデリバティブ損などがマイナスに拍車をかけるという状況でした。替わって第4四半期は、マーケットのボラティリティ増により、コミッション収入は増加しているだろうということは想像できますが、自己勘定部門でのマイナスが足を引っ張っている可能性が指摘されています。
そもそも銀行は近年、自己勘定取引で潤ってきたところがあり、株式、商品などの資産である程度のリスクを取って取引をしてきました。政府監査院によれば、2006年6月から10年12月までの銀行大手6社の自己勘定取引収入は156億ドルに対し、金融危機の際に同取引で158億ドルの損失を出し、それまで4年半の利益が吹き飛んだと言われています。

このような動きに対して規制をかけようとしたのがボルカールールで、銀行は今年の7月までに自己勘定取引が禁止され、取引執行のため外国関連会社も禁止、自己勘定取引を行っている投資会社のポジションも清算する方向、というものです。
Dodd Frank規制(金融規制改革法)でも同様に自己勘定取引によって銀行自身と金融システム全体をリスクにさらすことを防止していますし、加えて、OTCデリバティブ改革、バーゼルⅢの段階的導入、欧州OTCデリバティブ規制(EMIR)など、今年は昨年にも増して規制強化が図られることが予想されます。

欧米の金融業界は、企業部門にも加えてdelevaraging(デレバレッジング=レバレッジを減少させる)方向に動くことが予想されます。欧米の金融当局は金融危機後に「日本の失敗は十分学んだ」「日本化はしない」と豪語していました。 しかしながら、デットの返済に企業が動き、金融界も規制に縛られてレバレッジを減らすという二重のデレバレッジが進めば、ますますマネーのフローは停滞し、景気後退が深刻になります。
さらに欧州の債務危機も暗い影を落としています。

このような中、ファンドマネージャーさんたちから聞こえてくるのは、「parking lotとしての日本」。要は、一時しのぎに車を停める場所として日本株を買うというものですが、これを一つのきっかけとして、海外の投資家が日本株を物色する際に日本の良い企業を紹介できれば本望です。

今年も少しづつ時間を見つけてブログを書いていきたいと思います。