2012年10月23日火曜日
香港経由の中国進出と日中関係の現状について
本日、法律事務所のSidley Austinなどが主催する、香港活用セミナーに参加しました。
香港経由で中国に進出するというスキームは、下記のようなメリットがあり、弊社でもここ数年お客様に勧めてました。
-香港の低税率を利用できること、
-香港・中国経済貿易緊密化協定(CEPA)の枠組みを利用できること(=要はFTA)
-オフショア法人を利用して、譲渡や撤退、香港証取への上場も相対的に簡単であること
QAセッションでは、現状の日中のビジネスの状況について質問が飛びました。
JETROが調査しているようですが、税関ではもともと日系企業は長めにかかっていた審査が、より一層長くなっていたり、ロイヤリティの取り扱いで不利な結果がもたされたり、と相変わらず続いているようです。
中国人律師の方は、来年3月の全人代で中国政府の権力構造が確定するまでは、今のようなぎくしゃくした関係が続くのではないかと指摘されていました。
尖閣に香港の活動家が上陸したことから始まった今回の騒動だっただけに、香港も対日感情が悪化しているのかという指摘もありましたが、特に今まで聞く限りではそれはなさそうです。
むしろ、直接進出する上での地政学的リスクを回避する意味で、香港を活用する例は増えてきそうです。
日中の貿易や日本から中国への直投は鈍化が指摘されていますが、不思議なことに進出自体をとりやめたという話は少ないようです。今回のスピーカーの弁護士、会計士、コンサル、どの方も実際にdeclineした案件はないと仰っていました。
弊社でも先日一つ進出に関するマーケット調査のレポートを提出したばかりで、そのリサーチの際に現地で聞かれた話では、既に中国に進出している食品メーカーや外食チェーンは、一様に安堵している、と。
すなわち、これで日本からの出店ペースも鈍り、日系間での競争が緩和されることを期待しての発言だそうですが・・何ともみなさん逞しい!と改めて思いました。
2012年10月9日火曜日
学校教育費の対GDP比
先日、ブラジル資本市場のセミナーで、ブラジルは対GDPで教育費がここ5年、毎年5%を超えている、それだけ次世代に対して投資をしている、という話がありました。
自慢すべき水準なのだろうが、いったいこれは相対的に見たらどんな水準なのだろうと思って調べてみました。原典にあたる時間はないですが、『社会実情データ図録』というサイトにこのような一覧があったので、引用させていただきました。
なんと日本の水準の低いこと。特に公的支出の値は調査対象の29か国中最低水準となっています。
教育は公的支出の対象となる社会保障ではなくて、個々人の投資に依拠してきたということなのですね。
アイスランド、デンマーク、スウェーデンといった北欧諸国や、イスラエルの値が高く、私費負担含めて米国や韓国が高いというのはうなずけます。
仕事先で特に金融関連の人材には、米国にいるユダヤ系の人間が多いのですが、その知り合いたちの子供のころから親が教育にかけてきた投資、というのを聞くとその熱心さにただただ舌を巻きます。
韓国は受験戦争が厳しく、私費負担が高いから少子化になっていると理解していましたが、 やはり突出して高いのですね。
これって実は「将来の国力」に密接につながる話なんじゃないか?!ってとても心配になります。
日本の今後の教育投資を占うという上では、中央教育審議会が今後の教育投資の水準について議論しているようですが、そこでは高齢者福祉などにさらに傾斜するために、教育向けの予算は削ることも念頭にあるとのこと。これではますます少子化傾向に拍車がかかるのではないかな、とこの結果を持って思いました。
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