2013年3月28日木曜日

保育所定員の弾力化、保育中の事故の状況等


昨日、厚生労働省から発表された「平成 23 年 地域児童福祉事業等調査の結果」を読んで驚いたこと。

保育所の定員を弾力化している保育園、つまり、定員超の子供を受け入れている認可保育所は、全国で保育所のある市町村1,680か所のうち、69.9%、政令指定都市では91.2%(前回比+14point)に上っているとのこと。
これで待機児童が減ったというのだから恐ろしいです。

先週、病児保育等のフローレンスを運営している駒崎さんが「待機児童問題を考える前に、そもそも保育園の歴史を振り返ってみようか」というブログを書かれたことに対して、
http://komazaki.seesaa.net/article/348576326.html#more

宮本徹さんという方が、少々批判的にとりあげ、さらに認可園と認可外で事故件数が違うという事実について指摘しています。
http://miyamototooru.blog.fc2.com/blog-entry-3.html
「2012年の保育施設での死亡事故は認可保育園6件、認可外保育施設12件となっています。認可保育園は200万人以上が預けられており、認可外保育施設が20万人弱ですから、死亡事故率は20倍もの差があります。認可保育園での死亡事故も詰め込みがはじまってから増えています。」

以上のやりとりに対し、Dojinさんという方が(ちょっとごめんなさい詳細存じ上げないのですが)、認可園と認可外の児童死亡数について、客観的な分析をされていました。詰め込みが増えてから事故が増えたのかどうか、については期間が短く検証が難しいだろうとされていますが、認可と認可外については、ある程度の期間で下記のように有意な結果を導かれています。ぞっとします。


http://d.hatena.ne.jp/dojin/20130323#p1
関係者には知られた事実なのだろうか、と指摘されていますが、あまりメディアに取り上げられたのを見たことがないので、驚きました。

ご指摘にあるように、0,1,2歳の比率が違うというのは一つの要因でしょうし、先日の投稿で、認可外の先生の離職率が高く、待遇に差があるのではないかと書いたばかりですが、これまた要因の一つには挙げられると思います。また認可園の場合には園庭の広さも最低ラインが保証されているのに対し、認可外の場合は園庭がない場合も多いので、必然的に「お散歩」が必要になり、厚労省の報告書にある園外の交通事故などの要因になっているのではないか、と考えます。

私は基本的には、規制がない業界ほど歴史的に見て競争力を増している事実から、民営化できるものは競争原理にさらして強くすべし、と考える自由主義論者ですが、本件に関しては、これだけ子供の命に差がある事実を見るとそう簡単に割り切れない分野だと思います。

そして、東京財団の石川和男氏も指摘されていますが、「保育政策は、社会保障分野以外の分野で実施していかないと本質的に解決に向かわないだろう。予算配分で勝ち目が全然ない。」というのは悲しいかな事実です。保育園児も、忙しい母も、政治的発言力がないからです。何とかしないと・・・。

2013年3月10日日曜日

日本文化の再認識


昨日は、重要無形文化財 の一中節宗家十二世である、都一中先生の三味線の演奏を聞きながらのお茶会に参加しました。


突然、参加者で全員で「まづ一番に武蔵野や」と謡うことになり、ご指摘もあり気付いたことは、三味線の調子は、全て右肩上がりになっているのだということ。そんなところにも細かく縁起をかついでいるのですね。ちょっとした間合いでうまく皆さんが呼吸を取ったりすれば、ここの皆さんは「気が合う」、何かビジネスをやったらうまくいきますよ、と持ち上げて下さったり。

芸術は何でもそうですが、とにかく極めるのにどれだけの時間と負担と信念を傾倒されたかを思うと、それぞれの言葉の重みも違ってきます。

面白いな、と思ったのは、スポーツと芸術というものの差異について仰っていたこと。
「スポーツは日々訓練して、試合・本番で最高の状態に持って行き、普段は出せない記録に挑戦したりもする。それに対し、芸術の分野は日々お稽古するが、舞台で最高の演奏ができると思ってはいけない。本番で最低でもお客さまに恥じない演奏ができること、その最低限のレベルを上げるために日々精進するのだ。」と。
これは幸いにしてスポーツも音楽も、素人ながら縁のある生活を送ってきた身には、腑に落ちるお話でした。この点もう少し自分なりに深く探ってみたいと思うお言葉でした。

また、「海外の人に日本のことを語るのに、日本の文化についての教養がないとリスペクトされない」、とは今の仕事をやっていて、痛感していることだっただけに、重みのあるお言葉でした。

茶道も華道も書道も楽しんでやったけれど、語れるほど極めていないし。音楽は日本の楽器をできるわけでもないし、まだまだやることがたくさんあって、時間をもっと有効活用しないと、と強く強く思いつつ、こういう文化に触れて何だか日本人に生まれたことが誇らしく思った夜でした。
 

2013年3月6日水曜日

ショートセラー(空売り屋)と中国上場企業の戦い?


ここ1-2年、ちまたを騒がせている、米系空売り屋さんと中国上場企業との間で繰り広げられている話を取り上げてみます。

ロングショート戦略を採用するヘッジファンドなど、株式をショート(空売り)して、実際に株価が下落した時に買い戻し、その価格差で収益を上げる手法を取る投資家というのは多数います。(ショートの手法は貸株市場が存在し、株式市場の流動性がある程度担保されていることが条件になりますので、ある程度の売買ボリュームがある国でのみ可能となります。)

アメリカでは、上場企業の何らか負の情報をつかんでは、ショートを繰り返すファンドで名の知られたところがいくつかあり、この中でも、Muddy WatersとCitron Researchの2社は特に有名です。

ここ2年、中国の上場企業への空売りを大々的にしかけていたのですが、結果は惨憺たるものでした。
この2社に限らず、多くの米系ファンドが、原因は中国の上場企業の虚偽表示にあると、再三クレームをしています。具体名として、オリエント・ペーパー、スピードトラム・コミュニケーションズ、フォーカス・メディアなどは名指しで非難されており、株価を大きく下げたりしました。

他方で、これらの言動で特定の企業の株価が下がっている状況は、ショートをしかけている立場でもあることを考慮すると、利益相反を招いているとも言え、中国では反発の声も上がっています。

そんな折、今度は今年の1月末にTwitter上で、MuddyやCitronがつぶやいているハンドルネームに酷似したアカウントから、米国の特定企業の負の情報が流れ、株価が大きく下がるという、まさに「風説の流布」が起きたことが分かりました。

特定の2社をターゲットにしたもので、いずれも株価の暴落を招いたものの、即座に噂が否定されたことから、株価は当日中に回復したようです。
一部ではこれは中国側からの仕返しではないかと言われており、SECが未だに真相を究明しているとのことです。

いずれにしても、「どっちもどっち」な話ではありますが、米国側の言い分としては、中国の上場企業は未だに帳簿を3種類(税務署用、投資家用、そして最後に経営陣用のホンモノ・・)などと作り替えていると主張しておりますし、当面SECも巻き込んでの戦いは続くものと見られます。

弊社のお客さんに言わせれば、日本も子会社に飛ばして連結外したり、つい最近までそんな国だったじゃないか、って言われまして。。そう言われてみれば最近もまだバブルの処理でそんなことを続けていた会社が明るみに出たばかりだし、と思ったのでした。