2012年8月4日土曜日

100年企業、200年企業


今年の5月、7000万ドルの資金調達をしたEvernoteのPhil Libin氏は、
「私の目的は単に金を儲けることではない。100年後にも続く会社を作ることだ」
と語って有名になりました。

同社クラウドサービスのヘビーユーザーである私にとっては、とてもほっとする発言でした。しかし米国では、このコメントは少し驚きをもって迎えられた、と当時報道されました。最新の技術がめまぐるしく変化する今日、100年後の話をするのは不思議、とでも言うことでしょうか。

永続企業と言えば、日本のお家芸。
200年以上続く会社の40%は日本にある、という話を読んだことがあります。
フジサンケイビジネスアイの連載をまとめたものとのことですが、創業200年以上は日本に3,100社。
ドイツ800、オランダ200、アメリカ14を大きく上回る数字です。
先日、ミーティングした中国人の方に逆に教えてもらったのですが、創業100年以上は日本では21,666社、対する中国はまだ5社に過ぎないとのことでした。

日本で多い業種は旅館、料亭、酒造、和菓子で全体の4割。二番手のドイツはパン屋、地ビールだとのことです。いずれも、技術革新がそれほどない業種、とも言えるのかも知れません。
そして日本は、オーナー一族が経営と資本の双方をファミリーで握り、後代にバトンタッチしてきた、という例が多いようです。
中小企業も含めた日本の社長の平均在職年数は、30年弱ですから、100年では3-4代、200年だと7代もバトンをつないできたということで、何ともすごいお話です。
逆に「会社が永続しない」ということは、雇用していた従業員を解雇せざる得ず、債権者などの取引相手にも迷惑をかけるということですから、永続するに越したことはないのですよね。日本が誇れる記録の一つだと思います。

ただ、日本の技術立国としての地位が危うくなり、経済も停滞している今日あって、敢えて穿った見方をすると、このように市場に同じプレーヤーが存在し続けることで、本来必要な新陳代謝が進んでいない、といういい方もできるのかも知れません。
失敗が許されない国なだけに、一か八かのチャレンジをしないから大きな失敗もしない、無難な存続の仕方を模索している企業が多い、という言い方もできるのかも知れません。

アルバ・パートナーズは?って聞かれたら?
間違いなく、長く続く企業を作りたいと思います。できるだけ多くのお客様に末永く喜ばれるような、誇れる会社にしたいです。
日本的発想でしょうかね。

2012年8月1日水曜日

オリンピックの経済性について

オリンピックが始まって、テレビ観戦で昼と夜が逆転してしまって、という方はたくさんいらっしゃいますよね。

キャメロン首相は、「ゲームをゴールドに」という合言葉で、これをイギリスの富につなげると宣言し、英政府も130億ポンドの収入などと試算しているようです。
しかしながら、歴史的なデータを取ってみると、これはかなり難しそうです。

先日のエコノミストによると、1960年代からのオリンピックのお金の出入りを研究した専門家がいて、オリンピックの公共投資のコストオーバーラン(プロジェクトの当初予算を上回ったコストのこと)が平均179%!と言っていました。これは通常、ダムや高速道路を作るのような大規模プロジェクトに比べても桁違いに大きな数字。
4年に一度、しかもまったく違う地域で行われ、情報の蓄積・共有なんてされないのだろうと思いますし、専門性の高い施設となると、予算設定が難しいのかもしれません。

上回った分のツケは?という問いに、もちろんtax payerさ、とエコノミストの解説者は答えていました。オリンピックまでは建設ブームで経済が活況を呈しても、その後停滞するケースは枚挙にいとまがないですよね。巨大な規模の素敵な施設がたくさんできても、その後使い手がなければ回収はできないわけで。その割を食うのは国民である、と。


では選手は、というと、スポンサー契約の口が見つかる一握りのスターを別として、その後は別の職に就き、オリンピックで何か収入を得るわけではない。すなわち、ア マチュアリズムに付け込んで、ギャラ無料の出演者から他に類を見ない規模の収益が上がるという意味では異様な祭典なのかもしれないです。
その収益はスポンサーや広告代理店などに流れていくのでしょうか。
GEは2006年トリノから通算4回のオリンピックで、インフラなど10億ドルの受注って出ていましたね。スポンサー契約を20年まで延長したとか。さもありなん。


翻って日本。
東京商工会議所の1階に「オリンピック開催地決定まであと何日!」という看板があり、毎日日にちが減っていくのですが、どこまで深く考えてこの誘致の議論ってなされているのでしょうか。原子力政策のツケで電気代も上がる日本で、さらに五輪ゲットのツケまで払わされたら・・
恐ろしや・・・
まぁせめて開催期間だけでも楽しんで観戦することにしましょ。