2012年7月26日木曜日

ゆとり教育、海外でも有名だったのですね

本日、会社に中国でコンサルなど複数の業務をになう会社の中国人女性経営者が、部下の女性を伴って来訪。
アルバ・パートナーズはこちらの会社とは頻繁にやりとりをしていますが、直接会ってのミーティングは実は初めて。2時間にわたり、現在進捗中のプロジェクトについてなど、やりとりしました。

先方が何かの話の折に「あはは、それは条件反射ですね、ロシアの犬だ」と仰ったので、
こちらも「あはは、パブロフですね」と応じたのですが、そこでふと、日本のゆとり世代の教育では「パブロフの犬」が教科書から漏れたという事実を思い出しました。
少々脱線して、実は日本では・・・と言及すると、なんと中国人のお二人も「ゆとり教育」についてはよくご存じで。
「日本ではπが3.14ではなくて、3になってしまったのでしょ?」、と。
中国でも揶揄をこめて有名になったとか(ちなみに中国でも円周率は円周率と言うそうです)。

その女性社長はその昔、日本人学校で中国語を教えた経験があるそうで、「日本人は言われたら何も言わずにやるから偉い」「中国人はまず、それはなぜ必要なのか、やってどういう効果があるのかなどと、生徒が先生に質問するからもううるさくてね」、とも仰っていました。
何だかそれって良いことなのだろうか、とまたまた心配になる私です。みんながみんな、与えられた仕事だけやっていれば済む時代であれば、そういう国民性は評価されるべきなのでしょうけれど、これからは中国人的な発想(これって欧米の生徒もそうだと思うのですが)で、その都度「考える」という反応も大事なのではないかと思うのです。

中国の工場で日本から派遣された総経理が、現場の部下から質問攻めにあって、納得させられず。そのまま最近では争議に発展してしまって、、という話をまた最近お客さんから聞きました。
日本では、上司が部下から意見される、ビシバシ質問されるという経験はそれほど多くないと思うので、対応にも苦慮されることでしょう。それが、子供の頃からの先生とのやりとりに見られるように発想の違いに根ざしているとしたら結構根が深い問題です。

本日来訪した社長さんは、近年、中国人はどんどん教育要領が重たくなっていて、詰め込み教育ばかりしていていいのか、と疑問を呈しておられました。しかしながら、中国では、その詰まった教育内容の上に、人々はさらに豊かになるために子供のうちから切磋琢磨しているわけで、弊害はあるにせよ、日本がゆとりからようやく脱却した今日、国力の差は開くのではないかと思ってしまいます。

楽天の三木谷社長が最近出された本、『たかが英語!』で、日中のTOEICの平均点のデータを比較されていました。
1998年と2005年の平均点を比較したものですが、
中国の平均は505点→573点
日本の平均は448点→457点
2005年時点から7年も経過していることを思うと、さらに水をあけられているのではないかと、空恐ろしくなります。
これでマーケットが縮小するから、円高だから、って世界で仕事しろなんて言われても、ですよね。

それにしても、ゆとり世代の子供たちはパブロフと聞いて、ポカンとしてしまうのでしょうか。教育政策の失敗は罪深いと思えてならないです。





2012年7月11日水曜日

ヒューマン・ライツ・ウォッチの土井香苗さんのお話に心揺さぶられました

世界の人権侵害の実態について世界の国々にランキングがついているそうです。NGO「国境なき記者団」という団体が毎年実施しているそうです。

そのランキングで、北朝鮮より下の国があります。「エリトリア」という国です。そこでは、長い内戦の終了後、ようやく民主化への歩みがなされていたにも関わらず、2001年に起きたクーデタで独裁政権が発足。多くの人が投獄され、海外に逃亡しようとする人は射殺されるなど、人権を無視した政権が10年以上にわたり続いているそうです。

土井香苗さんという弁護士さんは、司法試験合格後、大学4年生だった98年にそのエリトリアにわたり、同国で、法律改正作業に従事されました。あいにくその一連の法改正作業は日の目を見ず、土井さんが滞在中に交流のあった知識人たちは投獄されたり、亡命したり。そして、今日の悲劇が続いているそうです。
土井さんはその経験を生かし、ヒューマン・ライツ・ウォッチの日本代表に就任され、下記のような手法で人権侵害の状況を改善しようと日夜奔走されています。

<同NGOの取り組み>
①世界で人権被害に遭っている現状を調査して公表
②ハーグのICC(国際裁判所)への訴追
③国の力を以って外交圧力をかける
日本はあれだけ巨額のODAを払って、発言力を買っているはずで、多大な影響力を持てるはずなのに声を上げない、もったいないと仰っていました。

それから、このNGOは国家からの資金サポートを受けない方針であるため、民間からの資金調達も数名のスタッフで行っているとのことでした。ファンドレイズのためのパーティーなどもしていらっしゃるそうです。

巨額な寄付ではお役に立てないけれど、PRや翻訳など弊社のサービスで何かお手伝いができれば、と強く思ったのでした。

  20090702_aera (←2001年のお写真。今はますます美しさに磨きがかかってました。)

本当にチャーミングで美しい方でした。
ヒューマン・ライツ・ウォッチはこちら http://www.hrw.org/ja

2012年7月7日土曜日

女性の社会進出だの、ワークライフバランスだの、って一言では言えない問題について

長男は公立の小学校に通っています。
イマドキの学校が押し並べてそうなのか、この学校特有なのかは分かりません。
が、とにかく「学校公開」、昔で言う「授業参観」が多いのです。
月に1回くらいのペースであります。
土曜に開催される時はまだしも、平日にあったりすると、ワーキングマムは頑張って半休を取るなどするか、諦めるかしかありません。
子供たちは、というと、学年が低ければ、親が来ると嬉しそうに手を振って、ほっと安心して前を向き授業に集中。親に「恥ずかしいから来るな」、なんて言い出す年になってもまだ、実は親が来るのかどうか、何度もちらちら後ろを見ているものです。
わが子のその姿を想像すると、母親としては、仕事をしていることが良いことなのか、それとも職場やお客さんに多少迷惑をかけてでも出席するべきなのか、いつも悩めるわけです。


育児中の仕事のスタイルについては、「ワークライフバランス」なんていう言葉の中の一つとして、十把一絡げにされがちです。でも、中を分類していくと実に細かいバランスが必要。
それは、出産後、保育園に預け始める頃から始まって、ずっとずっと背後霊のようにつきまとわれる問題なのです。

出産して一ヶ月検診という名の初めてのお出かけが終わると、まず怒濤のような予防接種。ものによって、同時に複数打てたり、既に打つ前から混合になっていたり、一週間後にもう一度受けられるもの、1ヶ月経たないと受けられないもの、本当に複雑。仕事に復帰してからも、この工程は数年続きます。病院が土曜にやっていたとしても、混んでいて病気をもらいがち、だったらやはり平日半休を取って連れて行くか、とか。

それと並行して、保育園に預けるのか、保育園は認可園に入れるか、認証だとどのくらいの負担か、ベビーシッターなどの補助を頼むとどのくらいの出費か、仕事での収入に対して、どこが損得の分岐点なのか。そして預けるとして、育児休暇をどこまで取るのか、復帰したら時短とするのか、そうするとどのくらい収入が削れるのか。などなどなど。

幼稚園に上がる年になったら、保育園から幼稚園に転園させるべきか。お稽古は人並みにやらせたい、とするとどういう手段で送り迎えするのか。お稽古代を稼ぐためには、やはり仕事はやめられないのか。幼稚園に行くとすると毎日作るお弁当と遅いスタート時間。どうやりくりするか。

途中でいったん職場を退いた後、どうやって復帰するか、その時にはどんな職種がありえて、はたからはどんなサポートがありうるのか。

どんどん書いていくと、こんなことに興味のない方には恐ろしくつまらない投稿になってしまうので、この辺でいったんやめます。

こう長々書いてきて思うことは、一番の問題は、こういうさまざまな悩み、その時々の決断、その結果としての負担を、主に世の母親のみが担当させられてしまっていることではないでしょうか。
上記に書いてきたことの多くは、自分も悩んできたことであり、そして多くの友人の相談に乗ってきたことでもありました。仕事と育児の板挟みで、すりきれそうになって心身ともに病んでいる友人もいます。
中途半端な時間でしか働けないことによるストレス、子育てに十分に時間を割けないことに対する後ろめたさ、散らかった家を片付ける時間のないことによる自己嫌悪、そんなのを全てを背負って、日本のワーキングマムたちは歯を食いしばってたりするわけです。

女性の社会進出に数値目標を、とかワークライフバランスの充実のために男性も育児分担を、とか、どちらもとても良いことだけれど、そんな簡単な言葉で言い切れちゃう話なんかじゃぁ全然ないわけ。


今月の「学校公開」も仕事で行ってあげられなかったり、昨日はそもそも子供を持つことに不安を感じている働く若い女性と話したりして、ふと心にスイッチが入ってしまいました。
これはまずはジャブ。こういうことにも、もっと声をあげていかないと。