2017年1月26日木曜日

アルバ・エデュのブログを更新しました ~『バブル』を読んで

永野健二さん著『バブル』、久々に怖い本を読了しました。読み始めたら止まらなくて、おかげで寝不足です。
バブルの萌芽の時期から、清算されるまでを日経の元証券部記者が絶妙な筆致で描いています。
これまでバブル関連のいくつかの本は読んでみたけれど、どちらかというと理論寄りの本ばかりだったので、今回、実名入り、実額入りの記録に震えました。
私が学生の頃、ケント・カルダー著『戦略的資本主義』を読み、そこに名のあった銀行にあこがれて入ってしまったのですが、今回この本によりその判断が実はコトの一側面しか見ていなかったことを改めて知りました。
もしその時にこれらの事実を知っていたら(当時はまだ明るみに出ることはなかったでしょうが)、その銀行に入ることを選択したかどうか・・とつくづく思う一方、
「え、とくやま、まだ『バブル』読んでないのか、早く買って勉強しろー!」、なんてお昼ごはんをご馳走してくださりながら、いまだにいろいろご指導くださる元上司たちや日々お世話になる先輩や同期たちにも巡り合えなかったのだと思うと、いやいややはり自分の選択は正しかったんだな、なんて思ったり。
人生にたらればがないのと同様、歴史にもたらればはないのですが、この本はバブルに突き進んでいった日本経済の瞬間瞬間を実に巧に切り取って表現しています。
NTT株の公開時についに国民レベルにまでバブルが広がった場面で、「当時は政治家も官僚も民間の経営者もそのことに気づく人はほとんどいなかった。気づいてもその流れに逆らう空気は生まれなかった。」というくだりでは、今の世界的な風潮が重なり、恐ろしく感じます。
そして、「会社の経営をぎりぎりのところで守るのは、運や偶然ではない。いつの時代も、現場への信頼と、組織としての規律、そして経営者の決断である。」という言葉も印象に残りました。
筆者の永野さんは、若者がバブルに対するあこがれを口にするのを聞いて、啓蒙が必要だと感じたと書かれています。この本を読むとそれがとてもよくわかるかと思います。当時、現役だった方にはぜひお話を伺いたいですし、若いみなさんにもぜひ読んでいただきたい一冊です。
みなさま、今年も面白い本があったらどんどん教えて下さい。

(Aska)

2017年1月17日火曜日

アルバ・エデュのブログを更新しました ~「ホットケーキを焼くために必要な対話」について考えてみました。

『はらぺこあおむし』で有名な、エリック・カール氏が書いた『ホットケーキできあがり!』という本を図書館で借りて、子どもたちと読みました。
主人公のジャックが朝起きて、「きょうは でっかい ホットケーキが たべたいなぁ」 というところから物語が始まります。
するとおかあさんは、自分がいそがしいのでジャックに手伝うよう促します。
最初に小麦粉を刈り、粉ひきおじさんのところに行って、「パトンパトン」とから竿でもみがらから小麦の粒を取り出す方法を教わり、石臼で挽いてもらい、次いで、卵、牛乳、バターを調達するために奔走し、そして仕上げに・・・

おかあさんは次々に指示を出し、それに従って、ジャックは試行錯誤しながらホットケーキを作り上げます。ここに至るまで、母と子で繰り広げられるコミュニケーションの量は膨大です。外部の人にお願いをし、人の手を借りて、ようやく自分の望みのものが手に入るということを経験します。できあがった時の達成感、そして一口食べた時の口に広がるおいしさは格別であろうことが、本を読む現代のわたくしたちにも伝わります。

今日では、小麦粉も卵も牛乳もスーパーマーケットに行けば瞬時に手に入りますし、ホットケーキミックスといったものまで登場し、あっという間にホットケーキが作れる時代になりました。レシピの検索が可能になり、買い物もネットを通じてできるようになり、世の中はさらにさらに便利になりました。

ただ、便利になった一方で、ホットケーキがの材料をそろえてから焼きあがるまでに必要な会話は激減し、外部のコミュニティと接触する必要もなくなり、試行錯誤をする時間もなくなりました。ホットケーキ作りに限らず、かつては当たり前のようにあった「対話」や「探求」の時間が、さまざまな場で減っているように感じます。その結果、「話すちから」の基礎となるものが失われているのかもしれないですね。

年始に借りたこの一冊の絵本のおかげで、大事なことを再認識することができました。

アルバ・エデュでは子どもたち・若者たちの「話すちから」を高める活動をしていますが、そのちからの根幹となるところは学校、家庭、地域における「対話」にあると考えています。これからも授業やセミナー、イベントを通じて、対話を増やす仕組みを提案してまいりたいと改めて思いました。(Aska)

2017年1月7日土曜日

アルバ・エデュのブログを更新しました ~2017年 あけましておめでとうございます

皆さま、
新年あけまして、おめでとうございます。

今年の年末年始は短めだったという方も多いでしょうか。この3連休が終わると3学期という子どもたちも多いかと思います。お母さま方、お疲れ様でした。我が家も保育園児以外の2人の学校がようやく始まり、肩の荷が下ります……
 さて、「日本の子どもに話すちからを。」を標榜し、プレゼンテーション教育を展開しているアルバ・エデュは、昨12月をもちまして、2周年を迎えることができました。これもひとえにお支え下さるみなさまのお力あってのことと改めて御礼申し上げます。
昨年は小中高大への単発の出前授業に加え、大学での連続講義が始まったり、企業とのコラボレーションでのワークショップが増えたり、社団にとっては画期的な進展のあった一年でした。この結果、社団発足2年で、出前授業38回、ワークショップ24回を含め、のべ3300人のみなさまに授業を届けることができました。
また、メディアに掲載されたこともあり、遠隔地からのセミナーご依頼など、ありがたいことがたくさんありました。年が明けてもすでにいくつかのセミナー、ワークショップ、出前授業が控えており、気が引き締まる思いでおります。

もっともっとたくさんの子どもたち・若者たちに授業を届けるために、今年は、以下の事項に取り組んでまいりたいと思います。
・授業の内容を簡単に学校や塾の授業に取り込めるようパッケージ化していくこと
・講師やファシリテーターなど担い手となってくださる方を増やすこと
・企業の皆さまとの接点を増やし、コラボレーションを拡大していくこと

その他、課題は山積ですので、みなさまのお力を借りながら一歩一歩、進んでまいりたいと存じます。
今年もどうぞよろしくお願い致します。
(Aska)