2010年12月19日日曜日

新しいオフィスへのお引っ越しのお話。

今日はとても寒いですね。ブログを読んで下さる方から、内容が硬くてイメージからほど遠い、というようなありがたい?フィードバックをいただいたりしましたので、たまには会社の日常のお話で。
ここのところ、数週間をかけて、新しいオフィスへ一部の仕事をお引っ越ししました。今までの小日向にも、総務の一部は残しつつ、業務の多くを同じく文京区の音羽の花和ビルの一室に移しました。社員のご家族や以前バイトをしてくれていたしんじろうくんなどなど、総勢10名以上に断続的にお手伝いいただき、無事にセットアップが完了しました。みなさま、ご協力、本当にありがとうございました。大方のセットアップが終わった日には、下の「花の舞」(ドアドア20秒程度)で打ち上げをいたしました。1階にはセブンイレブンと上島珈琲(UCCさんとはなんともご縁があるのですね)があり、とても居心地よし。気づいたら住んでしまいそうです。
花和ビルはオーナーさんが以前お花屋さんを経営されており、ビルのあちらこちらに植物が植えられています。これはお玄関のところで、すっかりクリスマスになっています。有楽町線はあまり使われないでしょうが、護国寺駅徒歩1分ですから、お近くにお寄りの際はぜひ遊びにいらして下さいね。

2010年12月12日日曜日

無借金企業と海外投資家から見た日本

先日、日経が上場企業の11%は有利子負債がゼロと報じていました。一説には4割の企業は今後の借入を想定していないとのことで、この数字は今後ますます大きくなることと思います。

先日、外国人投資家をメインのターゲットにしたカンファレンスに出ていた際に、日系企業の経営者に対する質問の多くは、「御社の実績も、実力も、戦略も分かった、しかしこの余ったキャッシュどうするんだ」、というものでした。この質問にまともに答えている経営者が少ないのが、同じ日本人としては何とも悲しいところでした。日系企業の多くはバブル崩壊後、バランスシートの改善を急ぎ、過剰借入、過剰雇用、過剰設備、すべてを削りに削って、本来は今、絶好の攻めの機会にある、というのが外国人投資家から見た日本企業に対する認識なのかもしれません。

株主相手に配当を増やすも良し、自社株を買うも良し、このご時世ですが、従業員給与を増やすも良し。ただ、この円高を背景にした海外での企業買収、新規事業への進出や、それらを含む設備投資、研究開発投資というのが絵として描けないのはなぜなんだ、という、とてもシンプルな問いがどの企業にも発せられていたように思いました。そしてそれに対して、明快な答えは殆どなかったように感じました。

翻って、中国やシンガポール、タイ、マレーシアというアジアの国々から来たCEOたちは自信に満ち、たくさんの役員や担当者を従えることもなく、流暢な英語で、躍動感あふれる表現で、自社の今後の戦略を語っていました。

何人か話した外国人投資家の中には日本びいきの方も多く、民族性もあるから、多少はそれぞれさっぴいて見ないと、とは言いつつも、少子高齢化だけではない、何とも言えないこの国の縮み思考が年々ひどくなっているように思う、と話していました。

30代後半男性の4割は親と同居という記事や、1/4の若者が定職についたことがない、という報道もありました。将来に夢を持てる国にしなくては、企業に余るお金も親元にあるお金も、殖やすことはできない、リスクとって投資することなんてできないんだよな・・、とつくづく思います。

2010年12月4日土曜日

中国の経済成長率とルイス転換点について

ここ数週間、オフィスのお引越しがあり、お客さんの来日があり、カンファレンスへの出席があり、と多忙ですっかり、こちらさぼっておりました。この間に、ホームページがまた少しきれいになったので、ご覧になってくださいね。
さて、先日出た中国経済についてのセッションで、エコノミストの方が農村部での労働力が枯渇してきており(実際に内陸部に行くと老人と子供ばかりだそうで)、かなりの賃上げをしないと労働力が確保できないという「ルイス転換点」に中国経済は近づいてきた、と話されていました。

ただし新興国がルイス転換点を迎えた後も、成長は持続するのが一般的で、中国でもこれで成長が減速するものでもない、というご指摘でした。というのが、過去20年間の中国での平均成長率は年平均+10%ですが、この間の雇用者増加率は+1%に過ぎず、両者の差、つまり9%は労働生産性の上昇によるものとのことです。すなわち、これは労働生産性の低い農業などの一次産業から労働生産性が高い製造業へ人の移動が進んだからとのことです。さらにサービス業など第三次産業就業者が局面では、まだまだ生産性上昇率及び成長率は伸びる余地があるとのこと。調べてみると、日本のルイス転換点は1960年代初頭という記載をいくつか読みました。日本経済はそこからさらに経済の高度化と経済成長の両方を遂げたわけで、なるほどと思いました。

従来、中国では1.5億人の余剰労働力が政府にとっての最優先課題であり、社会不安のもとともなる懸念事項、とされてきたわけですが、もしこれが現実ではないとすると、政策の転換が考えられます。中国が人民元の切り上げについて、米国の挑発にも乗らずに慎重なのも、雇用不安が背景でしたが、このスタンスも変わりうるか、ということ。それから1.5億人分の雇用を確保する必要がなくなるとすれば、繊維など、生産性の低い労働集約的な産業から脱却し、付加価値の高い自動車などの産業へのシフトを早められるのでは、というものです。

国全体の生産性が上昇することにより、GDPの高成長が維持できるのだとすると、最大の輸出マーケットとして持つ日本にとっては暗い話ではないですね。もはや低い労働力を求めて工場を移転する先ではなくなったものの、これからますます消費地としての魅力は増すということですものね。