2012年11月27日火曜日

女性の社会進出と少子化


今月頭に開催された国際会議で、シンガポールのリー・シェンロン首相が自国経済の堅調さについてスピーチした際、ブレア元首相のシェリー・ブレアが、シンガポールの少子化について指摘したという。リー氏は女性の社会進出などを指摘したが、シェリーさんは、それは制度が整っていないことを理由に挙げてさらに批判したという。


これについては、日本でもよく耳にする議論で、なぜこれを題材にしようかと思ったかというと、先日も女性経営者の会でまったく同じ言葉を聞いたからだ。
当日のスピーカーは寺島実郎さん。いつも明瞭な時事解説で、尊敬する方の一人である。当日も米国のシェールガスの実用化の進展により、世界の地政学、力学が変化しているというお話を分かりやすく解説して下さった。
ただ、それだけに大変残念だったのが、最後のQAタイムで、「女性がもっと社会で活躍できるには」、と質問が出た点に関して「女性には均等に機会を与えているのに、自分の部下などを見ていてもどうしても女性は伸びない」「積極さが男性に較べて欠ける」「育児休暇を取ることによってチームの他のメンバーにしわ寄せが行ったりする」という内容のことをおっしゃったのだ。とても幻滅してしまった。 

「少数派」の場合、多数派の人には気付かない色々なハードルがある。特に妊娠出産する女性に対して、「他の人に迷惑がかかる」は日本の会社でよく指摘される点である。
先日も銀行で一人目を出産して復帰した女性と話していたら、もう二度と育休は取れる雰囲気ではない、という内容のことを話していてぞっとした。
私が言うと自己弁護にしかならないけれど、、、(というのも本当に銀行時代まわりの方には産休育休で助けていただいたから)、、でもでも考えてみてもほしい。そんなこと言ってたら少子化、国力減退は止まらないでしょ特にキャリアを積んできているような優秀な女性が遺伝子残せないなんて他方で子供産んだら社会で活躍できないなんて。そんなこの国にとってどれだけマイナスか。

ちなみにアジアでの女性の進出度合いを調べたくて見ていたら、マスターカードが女性の社会進出度調査を継続して行っていたのでここに引用する指数は、それぞれの市場において、女性がどのくらい男性と同等の立場にいるかを示し、スコアが100以下の場合は男性優位の男女不平等を表し、100以上の場合は女性優位を表し、スコア100が男女平等を意味するという)。 
シンガポールの総合指数は「77.4」に対し、日本は「64.8」とさらに低い数字であり、
「企業および政府機関の管理職」の分野で男女均等を達成したのはフィリピンの192.3」のみ。シンガポールは「65.5」とまだマシで、日本に至っては15.0」とアジア最低を誇る

女性も進出できないし、それでも少子化は止まらないし。シンガポールよりもっと深刻な国になってしまっている日本について、シェリーさんはどんな風に思われるだろうか。
  

2012年11月20日火曜日

国民栄誉賞について教育という観点から


先日、レスリングの吉田沙保里さんの国民栄誉賞の受賞が決まった。
13大会連続世界一なんて途方もない記録、打ち立てるまでにはとんでもない鍛錬あってのことなんだろう、とそれを聞いてまず思う。オリンピックの時も寝ないで見ていてよかったとつくづく思ったし、上がる日の丸を見て、本当に日本人で良かったー、ありがとう!って気分になったものだ。

ただ受賞に際しては、一部で疑問も唱えられていたという話を聞いた。
これまでの受賞者を見ると、スポーツ選手か芸能人、歌謡曲の作曲家、漫画家、といったところか。
「前人未到」の記録ばかりだし、国民に感動を与えて、その時代の金字塔になったというような方々ばかりだ。ただ、言われてみればそれが最高峰の栄誉なのか、というと議論の余地はあるのかもしれない。
しかしながら、「国民」の「栄誉」というには、狭い範囲のみに与えられている賞であることは否めないかもしれない。

スポーツ選手の多くは現役時代はとても評価されるが、その後解説者になって活躍できるのはわずかである。

若者の中には、勉強はダメだったけど音楽で、ということでギター片手に上京して、街角でシャウトしてたりする。本当に売れて生計を立てられるのはほんの一握りの人たちに過ぎない。

こういう実態をツラツラ考えていくと、必要以上にこれらの限られた職種・選択肢を過大評価するのは、子供たちの教育上、リスクありと言えなくはない。

さらに、音楽・芸能は狭い範囲に限定されていないか?という疑問だってありうる。例えばクラシックの音楽家、バレエダンサーなど、日本の若者が世界では高く評価されているのに、本国での評価がそれに伴わず、海外在住、海外公演をしているという実態があったり。


何もこれらの人たちのものすごい記録を否定しようと思っているわけでもないし、子供たちに夢を見るな、と言っているわけではないのだけれど、これからの日本、ますます地に足をつけて「勉強」や「努力」をしていかないと、これまでの貯金をどんどん使うだけの国になってしまうからね、ということは大人が言うべき義務だろうと思う。そういう意味で、議論がなされたというだけでも一歩前進かもしれない。

もっともっと評価されたら良いもの?そうですねぇ。数学オリンピックとか、起業家とか。ノーベル賞も変な改ざんしてた方ではなくてきちんと受賞者の方。
これからの日本経済・産業を引っ張っていくような、そんな方向で努力していることが報われるような、そんな評価座標に脚光が当たってほしいと思う。






2012年11月14日水曜日

習近平氏についての話を聞きました


中国で正式に習近平体制が開始する、という本日、ちょうどタイムリーに沈才彬氏の「習近平体制の誕生と日中関係」という講演を聞くことができました。
私が知らなかった話がたくさんありました。

まず「コップの中の民主主義」と講師は仰ってましたが、今回は共産党内の秘密投票とは言え、2007年6月、2012年7月という二回の投票の結果、ダントツの一位という人気度を得ての就任であること。胡錦濤氏がパワーバランスを取りながら知的武装せざるを得なかったのと較べ、より強固な政権基盤が築ける可能性が高いということ。

それから習近平氏の経歴については、太子党でおぼっちゃん育ち、というイメージを持っていたのですが、実は副首相だった父親は文革で刑務所と軟禁生活合わせて16年の苦労をし、近平氏自身も少年時代は父とともに軟禁されたこと。その後、彼自身も農村に下放され、6年間の重労働を強いられたこと。逆境を乗り越えているから強さがあるんだ、と月並みに納得しました。

父親のチュウシン氏は78年の名誉回復後、広東の初期に就任し、鄧小平氏の改革・開放路線の先陣となるような改革を成し遂げ、中国沿岸部の発展に大いに寄与した立役者とのことでした。そのようなお父さんの手腕を身近に見ながら、ポストを歴任して今の地位になったのか、、、と。12億の中のトップって、、と気も遠くなります。

減速しつつある中国経済、貧富の格差、緊張高まる対外関係、政治腐敗などなど、多くの課題が待ち受けている中で、明日入れ替えメンバー7人が選ばれ、来年3月の全人代での政権交代に向けて着々と中国の新体制が築かれていきます。何も起こらなければ長期政権となるであろう習氏の体制がどうなるか、注目したいです。
天皇との特例会談でのバッシング、9.11新体制移行時の尖閣諸島国有化、など日本に対して持つイメージは必ずしも良くないと言われている同氏ですが、二国双方のためにも、日本の新政権との間では新たな関係が結ばれることを、二国間経済の円滑化という観点からも切に願います。

ところで、中国では役人の腐敗が悪化して問題となっていますが、なんと党幹部の95%は愛人がいる!中には46人も愛人がいる幹部も?!とかさまざま報道もされているそうです。どうやってアンケート取ったのかしら、、とかちょっと知りたい・・