2010年8月18日水曜日

「強い」経営と企業のサステナビリティについて

日本は100年以上続く企業が多いということで、よく話題になりますが、では元気の良い状態でどのくらいもつのでしょうか。
Visionary CompanyやThe will to manage(マッキンゼー経営の本質)などを読むと、当時もてはやされた企業が、その後「大企業病」に陥っていく様を見ているだけに、良い経営、強い経営、とサステナブルかどうかはどこまで相容れる概念なのか、が不思議に思われます。

創業社長で上場を果たされた社長さんに、お目にかかることも多く、お会いしていてカリスマ性を感じます。ただ、がむしゃらな成長と従業員の幸せ度がかけ離れているように感じることもあります。会社を調べるのが本業なので、ついつい気になって調べてしまいましたが、それぞれ直近の有報で勤続年数を較べると、
楽天 2.58年、ソフトバンク4.4年、SBI 4.4年、ワタミ 7.1年、ファストリ 7.7年
といった感じです。もちろん、人の入れ替えが早くそれだけ活気がある、という解釈をすることもできましょう。ただやはり、強烈なカリスマと社員の居心地の良さは相いれないのか、とも思えます。

孫子の兵法を学んでいると、こうした経営者の顔がだぶって見えてきます。恐らく皆さん勉強されてきているのでしょう。九地篇には部下のやる気の引き出し方は出てくるのですが、平時のやる気ではなく、あくまで戦いの場においてのものなのですよね。兵法は戦略については粒さに書かれていますが、「兵法」だけあって、平定した後のオペレーションについては、ほとんど書かれていないのが興味深いところです。孫武が仕えた呉が中国統一でもしていれば、また別の視点があったのでしょうが。

戦いに強い企業が永続するかどうか、ここがとても興味のあるところです。 社員が居心地が良ければ会社は永続するというのは短絡的な議論でしょうが、少なくとも経営者と社員がベクトルが合っている会社は成長と永続性の両方を満たすに近づくことができるように思います。

たくさんの会社とお仕事をしてみて個人的に思うことは、社長がニコニコしながら求心力になっている会社というのはお仕事をさせていただくのが心地よく、それが多様なステークホルダーにとっても、安心感を持って接することができる会社の一つの条件のように思います。
このお盆中も結局ほとんど休まずに数社の経営者の皆様とお仕事させていただきましたが、暑さの中でも元気が出る皆様でした!